2026年8月6日
AI事業は大赤字
OpenAIが開発するChatGPTはAIブームの火付け役です。世界中でこれだけ普及しているのだから、とっくに上場しているだろうと思っている方も多いでしょう。しかし実態は違います。今日はこの話を深掘りします。
OpenAIは年内の上場を計画していましたが、直近では「上場を2027年まで先送りを検討中」と報道されています。表向きの理由は、アルトマンCEOが「上場時の時価総額を1兆ドル(約160兆円)にしたい」と言っているからだということになっています。
これは本当の理由ではありません。図表1を見て下さい。OpenAIの2025年の通期の最終赤字は約385億ドル(6.2兆円)です。これほどの赤字を抱える企業が、1兆ドルという評価で上場するのは極めて困難でしょう。

OpenAIは2026年3月に、約1,220億ドル(約19兆円)もの資金調達を完了しています。赤字の垂れ流し、金食い虫だということがわかるでしょう。
大型の上場企業や上場直前の企業には赤字会社が少なくありません。SpaceXを例に挙げます。SpaceXは話題性と将来性に注目し短期的な利益を求める人々の過熱感を得て、収益の実態を伴わないまま上場を果たし、多くの資金を調達することができました。
しかしながら、2025年通期の連結業績を見ると、当期純損失は約49億ドル(約7,700億円)にのぼります。しかも2026年第1四半期だけで、純損失は約43億ドル(約7,000億円)に達しています。株価は上場時と比べて大きく下落しています(図表2)。

AI関連企業は共倒れの様相へ
OpenAIは利益を生み出せない状態が続いている中、開発費用だけは加速度的に膨らんでおり、赤字体質から抜け出せない経営が続いています。
厄介なのは、OpenAIの赤字で、周りの企業までが無傷ではいられないことです。図表3をご覧ください。代表例はソフトバンクグループとマイクロソフトです。

ソフトバンクグループは、OpenAIへの累計投資額約646億ドル(約10兆円)という巨額を注ぎ込んでいる、最大級のスポンサーです。
その資金の一部は自ら借金(つなぎ融資)をして工面しており、返済期限は2027年3月に迫っています。OpenAIの業績が上向けば問題ありません。しかし、今後も長期で赤字が続くとなれば、その途端に共倒れをするリスクが発生します。実際、今回の上場延期報道だけで、ソフトバンク株は一日で約1割下落しました。
マイクロソフトのOpenAIへの出資は、持分法で会計処理されているため、赤字が出るたびに自社の決算にも響きます。四半期報告書のよると、2025会計年度第3四半期には5億8,300万ドル(約900億円)の純損失という影響が出ていました。
株価が8割下落したITバブル崩壊と似ている
話題性や将来への期待だけで評価額が膨らんでいく構図は、2000年前後のネット企業にもよく見られたパターンです。
2000年3月にナスダック指数がピークに達すると、その後8割下落しました。アマゾンは高値から約94%下落、ソフトバンクグループは約99%下落しました。これらはまだいい方です。上場を維持することができたからです。2000年前後に上昇したネット関連企業の多くが上場廃止、倒産の憂き目に遭いました。
OpenAIに関して、大きな赤字が注目され始めると、投資家は一気に現実的になります。つまり、手を引くことになります。このままでは、上場のみならず、事業の継続すら危ぶまれるかもしれません。話題性や過熱感だけは投資家を引き付けることはできません。事業を見極めるデータが今後ますます重要視されます。



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