2026年9月21日
わずかな望みにかける米国政府
米国はあらゆる手を使ってドル覇権の維持を図っています。そのため、ステーブルコインの普及を国家戦略にしています。しかし、これは成功しません。今日はこの話をします。
ステーブルコインとは何か?
ステーブルコインとは何なのか。ビットコインではない、という意味です。ビットコインは価値が大きく変動します。近年、価格が8割も下がったことがありました。ステーブルコインにはこのようなことが起きません。
ステーブルとは英語で「安定」という意味です。つまり、暗号通貨なのに、これまでのコインやお札と価値がいつも同じ価値だということになります。だとしたら、銀行預金をする代わりに、ステーブルコイン預金をしても、損をすることはありません。
米国政府の狙いは2つあります。
❶税金の確実な徴収
現金がなくなり、すべてがステーブルコインになれば、すべての取引が税務当局の目に明らかになります。そのため、脱税が皆無になります。
❷コインやお札の発行コストゼロ
ステーブルコインになれば、コインやお札を発行する必要がないので、コスト安です。
ドルはそれでも嫌われる
ステーブルコインを発行する会社は、ステーブルコインの発行額と、国債と現預金等の合計保有額を同じにする義務があります。つまり、広く流通すればするほど、発行体からドル資産が求められるということです。だとしたら、米国債は買われ、利回りは下がっていくでしょう。これは米国の財政安定につながると考えることができます。
ベッセント財務長官は、ステーブルコインについて、「米国債需要の急増につながる」と述べています。
しかし、これは大嘘です。理由は2つあります。
1つ目は、ステーブルコインの市場が小さいということです。
決済インフラ企業のReapの最新データによると、ステーブルコイン市場(全世界)の時価総額は3,080億ドル(約50兆円)です。この時点で、米国の抱える借金、約40兆ドル(約6,400兆円)の1%にも満たしていません。
ここで大胆な仮定をしましょう。
世に出回っている米国紙幣・コインと同額のステーブルコインを発行するとします。FRBの統計によると、紙幣・コインは約2.5兆ドル(約400兆円)と言われています。同額のステーブルコインを発行し、前述の時価総額と合わせても、3兆ドルに達しません。米国の抱える借金40兆ドルに対して、10%に届かないのです。
2つ目は、債券の購入そのものが利回りに影響を与えないという事実です。詳しく述べましょう。
ステーブルコインが購入できる国債は、「残存期間93日以下の短期国債」と定められています。長期国債は金利変動のリスクが大きく、危険だからです。
債券の世界では長期債が重要です。この利回りが短期債の利回りに影響を与えます。別の言い方をするなら、短期債をいくら買っても長期債の価格には影響を与えることはできません。(図表1をご覧ください)

例えるなら、長期債が犬の胴体であり、短期債はしっぽに過ぎません。長期債(犬胴体)の力でしっぽ(短期債)を振ることはできますが、しっぽの力によって犬胴体は振れないのです。
ステーブルコインの本音は税金徴収手段で、それ以上の強みはありません。米国を救うことはありません。政治家は本当のことは言いません。しかし、しっかりニュースを読み込めば、こうした本当のことがはっきりわかります。



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