2026年5月19日
住宅問題からわかる日本の実情
かつて日本には、低所得層、中間層、富裕層がありました。
しかし現在、中間層は消滅しつつあります。社会は完全に二極分化しました。
今日はこの話を深掘りいたします。
図表1・2をご覧ください。1995年、日本人の所得の中央値は545万円でした。


一方で2024年は、410万円台まで下落しています。
ここで統計の見方をお話ししておきます。中央値と平均値という考え方の違いです。中央値は、全員を収入順に並べた「ど真ん中」の金額です。1000人がいたら、中央値は500番目の人の所得です。中央値が「本当」の平均(実態)を映し出すと言われています。
これに対して、いわゆる平均は一部の富裕層の影響を受けてしまいます。極端な例ですが、年収1億円の人が1人と年収300万円の人が9人いた場合、全員で10人になります。10人の合計年収は1億2700万円です。この平均は1270万円になってしまいます。年収の統計では、世の中に極端な収入の人がいるため、平均値が実態以上に高くなってしまいます。
実際、1995年データでも2024年データでも、中央値に比べて平均値が100万円以上高くなっているのはそのためです。
さて、話を図表1と2に戻しましょう。グラフの形が違うのがわかるでしょうか?
1995年の分布は、全体的に横に平坦であることがわかります。低所得者、中間層、富裕層が似たような数ずつ並んでいたのです。具体的には100万円以上から700万円未満の世帯数が横並びだったのです。
これに対して、2024年は違います。あるところに世帯数が集中していることがわかるでしょう。100万円から400万円未満の世帯数が鋭くのびており、それより高所得の世帯の分布については、ぐんと減っています。
家賃が生活を押し潰す
図表3を見てください。ファミリー向き賃貸物件の平均賃料の、実際の額と希望額の乖離を現したグラフです。

大多数が低所得層に落ちると、深刻な住宅問題が起きます。手取りに対する家賃の負担が、限界を超えるからです。
低所得者層の多くが、収入の4割以上を家賃に奪われています。
そのため図表3のように、希望する家賃と実際の家賃の乖離が非常に高くなっています。希望より7万円も高いのです。
本来、家賃はみんなが払える額で決まります。払えなければ、誰も部屋を借りません。空室を防ぐため、大家は家賃を下げます。これが自然な市場のルールです。
しかし現在の東京では、全く逆の現象が起きています。みんなが払えないのに、家賃が下がりません。
東京に集中する富裕層
なぜ東京の家賃は下がらないのでしょうか。一部の富裕層が、高い家賃を払うからです。
図表4をご覧ください。東京国税局管内において、給与所得1千万円以上の割合は9.6%です。

一方で、東京以外は4.3%に留まります。大都市で、極端な「富の集中」が起きています。一般人が払えなくても、この一部の富裕層が部屋を借ります。そのため、大家は家賃を下げる必要がありません。事実、住宅価格高騰により、東京への転入人数が4年ぶりに減少しています。
住宅問題がさらに深刻化しているニューヨークの実態を見てみましょう。
図表5です。

中低所得者の深刻な排除が起きています。富裕層だけが増えています。7.5万ドルの年収ですから、日本円では1200万円になります。こうした富裕層以外は周辺地区へと追いやられているのです。中間層の没落は、多くの人が住む場所を奪い取られた残酷な現実です。



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