2026年4月30日
UAEのOPEC脱退はその兆し
UAE(アラブ首長国連邦)がOPEC(石油輸出国機構)からの脱退をするというニュースが発表されました。これは原油価格下落につながる動きです。
掘れば掘るほど儲かる原油の利益構造
産油国は常にフル生産を望みます。できる限りの大増産を続けたいのです。この構造から説明します。図表1をご覧ください。

皆さんがリンゴの仕入れを行っているとします。仕入れ価格は5ドルです。これに対して市場価格は100ドルです。皆さんはどのくらいの個数を日々売りたいでしょうか?
答は、「仕入れられる限りの個数を売りたい」でしょう。1個あたり95ドル儲かるからです。もし、市場価格が下がったとしても売り続けるでしょう。いくらになったら、売るのをやめますか?市場価格が5ドルになった時です。利益がなくなるからです。
この話は原油生産に似ています。ただし、リンゴ業者に比べて、「もっとフル生産したい」という気持ちが強いです。
原油を地中(海中)から引き出すコストは5ドルくらいです。ここまでは、リンゴ業者と同じです。違いは、原油生産者は開発や初期費用(調査・ボーリング・拠点の整備)に多額の費用がかかることです。これを1バレルあたりの原油で20~30ドルずつ回収していきます。
ここが、産油国はリンゴ仕入れ業者と大きく違う点です。「作れば作るほど儲かる」からどんどん売りたいだけでなく、「巨額の初期投資を回収したい」からどんどん売りたいのです。
このような利益構造を抱えている産油国が全員、「どんどん売るぞ!」と言い始めたらどうなるか?原油価格は低迷します。最終的にはコストぎりぎりの20~30ドルになってしまうかもしれません。
それを避けるために設立されたのがOPECです。「自国のことばかりを考えて生産しないで、原油価格の高値維持を皆で図ろう。それが産油国全体の利益につながる」という発想です。
封印されたUAEの圧倒的な生産力
しかし、イラン戦争により事情が大きく変わりました。生産設備が破壊され、ホルムズ海峡が封鎖され、湾岸諸国の原油収入は激減しました。
湾岸諸国の現状での課題は、「できるだけ原油収入を増やすこと」にあります。OPECの協定など守っている余裕はありません。自国第一でやっていかなくてはならない事態に追い込まれているのです。
UAEはその典型例です。図表2をご覧ください。

現在のOPECの減産規制下において、UAEの生産量は1日あたり約342万バレルに抑え込まれています。しかし、本来の生産能力(フル稼働)は約450万から500万バレルに達します。つまり、毎日100万から150万バレルもの原油を生産できる余力がありながら、意図的に止められている状態です。
タガが外れた市場、価格は下落へ向かう
重要なのは、この「とにかくフル生産して儲けたい」という欲望はUAEに限った話ではなく、他の産油国も全く同じだということです。UAEが抜け駆けをして増産に踏み切れば、他の国も黙って見ているわけにはいきません。
図表3にあるように、UAEはOPEC加盟国の中で第3位の生産国です。イラン(第4位)は国家復興をかけて躍起になって増産するでしょう。他の国も黙っているわけがありません。

OPECという生産調整のタガが外れれば、各国がシェアを奪い合う増産競争に突入します。意図的に止められていた数百万バレルもの原油が毎日市場へと雪崩れ込み、深刻な供給過剰を引き起こすことで、原油価格はここから下落へと向かいます。



コメント
コメント一覧 (1件)
OPEC次第、ではありそうな気がします。下げ幅が、気になる所ですかなぁ。
原油先物価格は、相場に、良そうだなあ。