オプション取引はお金を失ういい方法

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2026年3月25日

ジム・ロジャーズが語ったオプションの本質

オプション取引は、少額から大きな利益を狙える魅力的な金融商品として宣伝されています。特に、株価の下落で利益が出るプット・オプションは、暴落への保険としても個人投資家に人気があります。

しかし実際には、この取引はオプションの買い手に圧倒的に不利なゲームです。成果を上げたい証券マンは大いにこの商品を薦めますが、大きな落とし穴が隠されているのです。具体的なデータを見れば、その残酷な現実は一目瞭然です。

データが示す圧倒的な損失率の高さ

オプション取引がどれほど難しいか、世界のデータが明確に示しています。

  • インド市場: 証券監督当局(SEBI)のデータによると、2024年から2025年度にかけて、実に91%の個人投資家が損失を計上しています。
  • 米国若年層: Bloombergの調査では、短期的な利益を狙った若い投資家の70%以上が損失を出しています。
  • 台湾市場: 学術研究によると、80%以上のデイトレーダーが赤字で終わり、利益を出せるのはわずか2割未満です。

相場が上がるか下がるかは本来五分五分のはずなのに、投資家の大半が負けてしまう最大の原因は、商品設計そのものに隠された残酷な仕組みにあります。

プットオプションに仕掛けられた時間の罠

オプションとは、日経平均などの原資産を将来の決められた期日に、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で売買できる権利のことです。 株価が下がるほど儲かるのがプット・オプションです。しかし、ここには、圧倒的に不利な条件が課せられています。

実際の市場価格を見るとそのことがわかります。取引日である2026年3月16日時点のデータを見てください。

図表1にあるように4月9日が取引最終日となる4月限月のデータを見ると、権利行使価格53000円のプットオプション価格は2030円です。

一方で、図表2の5月7日が取引最終日となる5月限月のデータを見ると、同じ権利行使価格53000円のプットオプション価格は2705円となっています。

このオプション価格は日経先物価格が53,060円の時のものでした。53,000円で売る権利ですから、精算日までこの価格が続けば、60円の損になってしまいます。しかし、投資家は「ここから日経平均は2000円以上は下がる」と思って、高い価格をつけています。

問題はその予測精度ではありません。予測は外れることも当たることもあります。問題は2つの取引最終日の価格差です

具体的には、満期日までの期間が約1ヶ月短いだけで、価格が約700円も低くなっているという事実です。 なぜ期間が短い方が安いのか。逆に言えば、期間が長い方がなぜ価格が高いのか。

それは、期間が長ければ長いほど、「大暴落が起きて大きく儲かるかもしれない」という期待が上乗せされているからです。

誰が考えても、「2か月以内に2000円だけ日経平均が下がる確率と1か月以内に2000円だけ下がる確率とはどちらが高いだろうか?」と考えた場合、「期間が長い方が、大きな下落が起きる確率は高いに決まっている」と思います。ここまでは当たり前の話です。

問題は期間が短いほど、急速に現実的になってしまい、「そんなに短い期間ならば、たいして悪いこと(=大きく下がること)など起きやしない」と思う思い始めるところにあります。

持っているだけで腐っていく

話を数字に基づいて進めます。この5月限のプット・オプションを2705円で買った投資家の運命は残酷です。

仮に、相場が全く動かず、1ヶ月間、日経平均が53060円のまま横ばいだったとします。 株価は1円も下がっていませんし、上がってもいません。普通の株なら損益はゼロです。しかし、オプション取引においては絶望的な損失が発生します。

1ヶ月が経過し、5月限のオプションは残り期間が約1ヶ月の状態になります。つまり、先ほどの4月限(満期日が近い)と全く同じ状態になるということです。 株価が一切動いていないにもかかわらず、購入時に2705円だったオプションの価値は、期日が近づいて大暴落の期待値が剥がれ落ちたことにより、自動的に2030円まで下落してしまいます。

株価の予想が外れたわけではなく、相場が動かなかっただけで、勝手に約700円、つまり25%もの価値が消滅してしまう。 この、時間の経過とともにオプションの価値が腐り落ちていく現象を、専門用語でタイム・ディケイ(TIME DECAY:時間が腐る)と呼びます。

なお、この間先物取引をしていれば、株価が動いていないので、損得は全く変化していません。

買い手は確実にお金を失う

オプションの買い手は、相場の方向を当てるだけでは勝てません。 タイム・ディケイによって日々目減りしていく価値を上回るスピードで、かつ期日までに相場が大きく暴落してくれない限り、利益は出ないのです。

毎日、持っているだけで資産価値が溶けていく。これほど個人投資家に不利な金融商品はありません。 こうしたことからオプション取引には慎重になった方がいいでしょう。ジム・ロジャーズはコロンビア大学での講義の中で、オプションについて質問をした学生に、「お金を失ういい方法だ」と答えていました。アメリカ人らしい皮肉っぽい言い方でした。

あれから30年以上が経ちます。本質は全く変わっていません。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 昨年末、米国株のプットオプション取引のセミナーを受けて、取り組もうと、IG証券、MOOMOO証券などの口座開設にてこずり、また、良く分からないので、結局やめたところです。セミナー費用は丸損です。
    やはり、止めておいて良かったのでしょうか

    • オプションは非常に難しいです。
      新規に口座をお作りになる際は、ご年齢による制限もあるかもしれません。

      ただオプションはやらないとしても、IG証券やMOOMOO証券には、それぞれ他の証券会社にはない良さがあります。
      オプション以外で出番があるかもしれませんから、もう口座開設がお済みになっていれば、それらが無駄になるということはありません。
      ですがまだ手続きが途中ということでしたら、無理に進めていただく必要はないでしょう。

  • ありがとうございます。MOOMOO証券は仮登録して、株購入者の大口、超大口比率の情報などを見ています。たしか、IG証券は資産状況を非常に細かくきかれて、面倒くさいので止めました。(年齢制限も?)
    先生の講義の金購入の所まで進み、これから、株投資のほうに移ります。
    本当に、株投資だけではなく、金購入や空売りのファンド?まで幅広く紹介してくれる講師の先生は林先生しかいません。よろしくお願いします。

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