2026年3月2日
米国・イスラエルによるイラン攻撃により、株価や原油価格はどのように動くか。「大きな影響はない」というのがぼくの考え方です。
今日は、この話をいたします。
「戦争は株価に影響しない」という原則
投資の世界では、古くから次のような原則が知られています。
「戦争の開始や動乱の時代への突入は、株価には本質的な影響を与えない」
過去のデータがそのように物語っています。
図表1を見てください。第二次大戦後に起きた主な戦争について、開戦日から3か月後の米国株価の変化を調べると、次の結果となっています。

- 対象となった戦争は19件
- 株価が上昇したケースが10件、下落したケースが9件
平均変化率は+0.3%
しかも、イランからの反撃は限定的に留まると考えます。それは最高指導者やその側近、軍トップらが殺害されてしまったからです。戦争の遂行ができません。
さらに、次のような問題点があります。
- 海峡封鎖といった大規模な軍事衝突に発展すれば、国際的な制裁が強化される
- 経済・財政面ですでに大きな制約を抱えている
- 周辺国や大国との力関係を考えると、全面衝突は極めて不利
図表2にあるように、原油価格は2025年6月の米国によるイラン核施設攻撃を受けて大きく上昇しました。しかし、それはごく短時間のことでした。その後は攻撃以前の水準に戻ってしまいました。

ベネズエラの大統領捕獲のときも、軍事行動そのものが株価を大きく動かすことはありませんでした。
なお、ゴールド価格についても影響は大きくないと考えてください。
私たちがイラン攻撃から学ぶこと
米国大統領が何故このような行動に出ているのか。これについて解説しておきます。
➊米国の略奪戦略
関税違憲判決が出ました。関税による国庫を潤す戦略が行き詰まりとなりました。もともと、関税だけでは米国を運営していくだけの財政には足りません。
不足はベネズエラとイランの原油をものにすることで埋めて行こうという戦略です。一言で言えば、略奪です。
「あまりにひどいじゃないか。他国の財産を収奪するだなんて」と憤る人が多いことと思います。しかし、私たち国民は日頃から国家に同じことをされていることを忘れてはいけません。
❷裏切り者の横行
イランの最高指導部を殺害する際に、「最高幹部が何時からどこで会合をするか」という情報をイスラエルはつかんでいたはずです。そうした情報を知り得るのは、イランの最高幹部だけです。この中に裏切り者がいたのです。
日本が第二次大戦に踏み切った際にも首相、海軍大臣、最高司令官のなかに裏切り者がいました。
今後の株価は下落基調
今後の株価は下落基調となるでしょう。米国ではダウ平均、S&P500、NASDAQ指数が50日移動平均を2回以上割れています。弱気のシグナルです。
株価を中長期で動かす本質的な要因は常に、金融政策、景気の方向性、企業業績です。景気が弱まっているのが理由です。
イラン情勢で株価が下がることはありません。イランが理由で下がるのではなく、景気悪化で下がっていくとお伝えしています。



コメント
コメント一覧 (9件)
「米国の略奪戦略」,「裏切者の横行」に関しては,林さんと同意見です.一方で,見解が異なる部分もあります.
・ここ数年は,原油価格が紛争で一時的に上がっても,すぐに戻していたことは事実です.ただ,原油価格は2022年以来の長期下降トレンドを2月下旬にブレイクしており,状況が異なります.
・首脳部の殺害で戦争が継続できないとのご主張ですが,最高指導者の殺害はイランの国民感情に火をつけ,ジハードの名の下に逆になりふり構わぬ攻撃に出るだろうと考えます.ネタニヤフはすでに国外逃亡.トランプは短期収束からのディールを狙っていたが,その目論見は外れたと思います.
・ホルムズ海峡では,パラオ船籍のタンカーが攻撃を受けました.ロイズオブロンドンは戦争リスクの保険料をすでに50%引き上げました.このように,ホルムズ海峡の封鎖に機雷設置や公式発表は必要なく,実質的封鎖はすでに始まっています.これが数か月単位で続くかが焦点です.
・イランはUAEなどの周辺諸国にもすでに攻撃を行っており,場合によっては石油施設への攻撃もあり得ます.
・OPEC+は原油増産を発表しましたが,すでに増産余力がないために雀の涙の量で,「歴史上最も無意味な決定」とロイターも報じています.
掲示板「ゴールドのフル投資」にも書いた通り,5100ドルの水平抵抗線の突破,GDXの最高値更新など,先週から強気シグナルが発生しており,今回の戦争はそれに拍車をかけると考えます.金価格の最高値更新は,年末までかかることなく,今月中には達成すると思います.
この情報を聞けるだけで楽しいですね。いかなる事が起きようとも株価を左右する一番の要因は景気であるという事がよく分かりました。
景気の減退
不動産価値の低下心配します。
まだ投資部に参加させて頂いて日が浅いので、とてもこのニュースを見て不安に思ってました。林先生の意見を聞いて安心しました。
しかし戦争は早く治って欲しいです。もっと大きな波がこれから来るという、トランプの発表がありましたが、先生の分析をみて、なるほどと思いました。
様子を見ながら投資の勉強を続けていきます。
林先生
金と投資は、こうのような
現代の戦争が起こっても
影響がが無いと言うお言葉から
とても勉強になります。
やしろらるみ
林先生ありがとうございます。やはり、原油なのですね。景気が悪くなる兆候は戦争が長くなる場合におこるかなと思いますが、株暴落サインは少しづつ出ているように感じます。金を頑張って買っています。高くなってからは買えませんし、皆が買いたいとなれば、制限がでるはずだから、、戦争は嫌です。悲しい性ですね。
大暴落した後の生活は、コロナ時代のように過ごすということかなと想像しています。
金に関する上記の見通しを修正します。
昨日、米国株価指数以上に金は売り込まれ、5100ドルの支持線を大きく下回って一時5000ドルを割れました。正直、有事の金のここまでの下落は予想外でした。現在は5200ドルまで回復しましたが、累積出来高デルタを見ても上昇の勢いは弱いです。戦争継続&原油上昇となれば再度の大幅下落もあり得ると考え、5100ドル時点で拡大した金の買いポジションを一旦縮小します。停戦合意に至れば今月中の最高値更新もあり得ますが、ここはリスクを取らずに現金を厚めにして様子を見ます。
4日23時投稿
連投すみません。
原油が上がってきましたね。昨日までは金価格は株価と相関、原油と逆相関でしたが、本日になって株価と逆相関、原油と相関に反転しました。そのため、金のポジションは減らさず、このまま様子を見る戦略に切り替えました。再度、原油と逆相関に変わるようであれば、その時点で金のポジションを一旦減らそうと思います。
5日12時半投稿
スイスがスイスフラン高を嫌気して売り介入してますよね、つられて金も上値重そうです、関連ありますか?