関税違憲後の米国株価

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2026年2月26日

違憲判決の経済に与える影響

トランプ関税の違憲判決により、米国経済に大きな2つの問題が生じると考えます。

➊長期金利の上昇

図表1にあるように、米国の関税率は異常な急上昇を見せています。数%だったところから、20%近くまで跳ね上がっています。

トランプがここまでして関税を海外から取ろうとしてきた理由は何か?

それは国庫にお金がないからです。赤字額が公表されている数字以上にひどいのでしょう。国庫の歳入を増やす主な手段は税金です。それでも、所得税や法人税は国民の反発があるため上げられません。そこで、「外国からできるだけ徴収したい」というのが関税の趣旨です。

この政策が「だめだ」と言われたことになります。「関税政策が行き詰った」ということになれば、金融市場は米国債券を売るでしょう。つまり、長期金利の上昇です。日本でも高市政権が積極財政に舵を切った途端に長期金利が上昇しました。

❷経済の混乱

2番目はやや長期間における悪材料です。米国消費者がトランプ政権に対して拒否反応を示すようになるでしょう。政権が不安定化していきます。

この流れを具体的に示します。

これまでに徴収した関税は返還していくことになります。例として、中国からの食料品への関税について考えてみましょう。政府は最終的には徴収先(米国内の食品輸入業者)から違法に徴収した金額を返還します。輸入業者は中国の輸入元に返却するでしょう。

これに対して、高い食品を買わされた消費者はどう反応するでしょうか?「自分たちが高いものを買わされたのだから、違憲だった分は返して欲しい」と言い出すに決まっています。

しかし、売り手側は、いったん値上げしたものを値下げすることはないでしょう。再度の値上げは理由がはっきりしないとできないからです。消費者は高いものを買わされ続けます。

消費意欲が落ちることが予想されます。そこで、輸入業者は中国の輸入元と話し合って、「違憲返還キャンペーン」(割引セール)を展開することになるでしょう。そうしなければ、収まりがつきません。一人ひとりの消費者に返還することは事実上不可能だからです。

消費者が納得するまでに、このような紆余曲折が想定されます。買い控え運動などが始まる可能性もあります。

トランプへの信認が揺らぐでしょう。経済や政治の不安定さが株価下落の引き金になっていくでしょう。

下で述べるように、「株価はいつ下げに入ってもおかしくない状況」になっています。それが違憲関税をきっかけに下げ方向に動いていくことになります。

チャートが示す崩壊の足音

現在の株式相場は好材料・悪材料が混ざり合っています。相場が下げ方向に向かう材料として次の2つを挙げることができます。

➊NYダウの乖離率

図表2はNYダウの1000日移動平均線からの乖離率を示したものです。見てわかる通り、現在は30%に限りなく近い水準で推移しています。過去のIT暴落やリーマンショック暴落30%前後がピークとなっています。過熱の行き過ぎが相場下落のスタートとなります。

❷NASDAQの50日移動平均線割れ

テクニカル指標として「50日移動平均2回割れが相場陰転の兆し」ということをお伝えしています。図表3にあるように、NASDAQ指数において過去4か月の間に4回割れています。図はないですが、S&P500についても4回割れとなっています。

騰落レシオが最後の砦

上に示した➊と❷だけでは、「大きな下落が始まりだ」と断言することは」できません。その理由はNY市場の騰落レシオがまだ健在だからです。図表4です。


S&P500が下がり始めたのに対し、騰落レシオはまだ上がり基調です。騰落レシオは、「上昇銘柄数―下落銘柄数」を日々加えた数値です。このレシオが上げ基調ということは、「
個別銘柄の中には上昇基調にある銘柄の方が多い」ということになります。

ここまで述べてきたように、現在の相場は好材料と悪材料が綱引きをしている状態です。関税違憲がきっかけとなって株価下落の方向に舵が切られると考えています。

本稿は、2月24日に投資部LIVE会員向けに配信した動画「関税違憲後の米国株価」の要約版です。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • データを観る事が大切だな、と改めて思いました。新聞やテレビ、それと株価を煽る様なYouTubeは観ない方が良いと言う事もハッキリしました。解説、ありがとうございます。

かっちゃん へ返信する コメントをキャンセル

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