韓国の戒厳令は何故起きたのか

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諜報勢力の裏切り

韓国の尹大統領は戒厳令の発令と撤回により急速に力を失いました。今日はこの真相をお話ししたいと思います。

12月3日、尹大統領は戒厳令を発表し、6時間後の4日未明には、その取り消しを行いました。どうしてこのようなことを行ったのか。

新聞各紙の論調はこうです。「政権の支持率が20%程度と低迷し、求心力著しく低下する中で、権力の回復を狙い、形勢逆転を目的として大胆な行動に出た」という考え方です。

ぼくはこの考え方に批判的です。そのようなことで戒厳令を発動するはずがありません。韓国では過去44年間発令されておらず、しかも、大韓民国が民政に移管されてからは、初めてのものでした。形勢回復のためとはいえ、そこまで大それたことはしないでしょう。

大統領は戒厳令発表時の会見で、「野党勢力が北朝鮮と緊密な関係を作り、現政権に対して、大きな脅威になっている」と述べています。これが大統領の真意だったと思います。

従って、「このままの状態が続けば、12日以内にでも一般の市民生活が脅かされ、国家が大混乱になってしまう」と考えたはずです。そうでなければ、戒厳令を発表するはずがありません。

ところが現実には、戒厳令が発表されなければならないような切羽詰まった状況は、どこにもありませんでした。話を簡単にすれば、尹大統領は状況認識を誤ったのです。

どの国家でもそうでしょうが、大統領は政府の各方面から日々、各種の情報・諜報を得ています。このうち、諜報が曲者です。諜報は極秘情報で、「誰もが知り得ない情報」ですから、真偽を確かめることができません。

諜報担当のトップが尹大統領裏切った可能性が強いです。諜報勢力が野党と結託して追い落としを図ったというのが最もありうるシナリオです。

ぼくが今日この話を持ち出したのは、韓国のみならず、どこの国家においてもこうした危険性が潜んでいるということをお話ししたかったためです。日本も例に洩れません。

鳩山由紀夫内閣の時です。鳩山由紀夫が、266日間というごく短期間で総理大臣の座を追われることになった理由は、普天間飛行場の移設問題でした。

鳩山氏のスローガン、「最低でも県外へ」は当時有名でした。しかし、移設の執行期限を何回も延ばすことになり、最終的には撤回しなければならなりませんでした。そのため、人気ガタ落ちとなってしまいました。

当時の論調は、「普天間飛行場移設を1年以内にするのは到底無理だろう」というもので、ぼくも同じように感じていました。しかし、「首相には一般人にはない独自の情報・人脈ルートがあり、それを用いることで可能なのかもしれない」とも思っていました。

鳩山氏も諜報にやられたのです。諜報部門から、「県外移設は可能なばかりか、比較的容易である」という趣旨の報告が上がっていたはずです。鳩山氏はこれを鵜呑みにして、普天間基地移設を政権の大きな目標としてしまいました。

鳩山氏の米国軽視・中国重視の方針が米国偏重の諜報勢力には気に入られなかったようです。首相就任時の最初の訪問国を米国とせず、中国を選んだだけでなく、オバマ大統領来日・滞在中に外遊に旅立っていったことに象徴されるように、従来の米国属国としての振る舞いから外れた行動をしていました。

尹大統領と鳩山由紀夫氏に共通して言えることは、温厚で善良な人柄だということです。別の切り口で見れば、騙されやすい人間だということです。

情報によって大きく決断が間違う例として、頭に入れて頂ければ幸いです。

コメント

コメント一覧 (17件)

  • NHKの未解決事件という番組では松本清張で有名な下山事件、そしてケネディ大統領暗殺事件なども諜報機関が関わっている可能性を指摘していました。それどころ2014年のウクライナ政変や1973年チリ政変など国民の選挙によって決まった政権転覆にも大きく関与しているとの噂がありますが本当なのでしょうか?皆様何かご存知でしたら教え下さい。

    • 2014年のウクライナ政変については米国の関与があったことがわかっています。
      この際も諜報機関が活躍しました。
      1973年のチリ政変について僕は知識はありませんので、
      ご存知の方は教えてください。

  • 良かれと思ってやったとしても、逆効果になってしまう事はよくあります。株もそうです。
    先生の気付きを読ませていただいています。
    会員になったのですが、まだ初心者なので、
    講義を繰り返し見ています。先生の事だから
    絶好のチャンスは必ず教えてくれると信じて
    講義で勉強します。ご指導宜しくお願いします

    • あなたのためにできるだけのことはします。
      もし何らかの迷いが生じて、僕のアドバイスが必要な時は
      いつでもメールをお寄せになってください。

  • 林先生ご回答ありがとうございました。
    まさかとは思いましたが、噂は本当だったのですね。私たちは、今回の韓国の件と同じで諜報機関に騙されないよう十分注意しないといけないですね。

  • 韓国での戒厳令はとても驚き、あれよあれよと伊大統領が失職していく様子を目の当たりにして怖さを感じていました。この怖さは林先生の気付きを通して納得出来ました。
    私も騙されやすく普段なら他人事で読み終わっていましたが、この内容が自分への戒めに繋がりました。林先生に出会えて本当に良かったと思います。

    • 世の中で起きていることの真相をできるだけわかりやすくお伝えしていくつもりです。
      こういうことの真相を教えてほしいというテーマがあったら、それも喜んで解説させていただきます。

  • TikTokである中国人は韓国の戒厳令は
    北朝鮮と戦争を起こし中国も日本も参戦させ
    東アジアを戦場化させる事で
    今の中国の力を弱らせるのが目的だったと述べてます。
    陰謀論は人気を集めるから嘘だと思いながらも
    気になりました。

    • 戦争を起こさせるのはなかなか難しいかもしれませんが、
      緊張を国際間の緊張を作り出すだけならばたやすいかもしれません。
      諜報機関にそういう意図があったとしても、なんら不思議はないと思います。

  • 金大中事件 をご存じでしょうか。 ゼミの先生の奥さんの父親が自衛隊幹部で 調査室なる部署で国は、金大中の日本からの連れ去りを知っていたと 先生が話していたことを思い出しました。 世の中にそのような部門が現実的にあることを知る機会がありました。

    • 警視庁のトップ括弧して警視総監括弧閉じてになるのは
      たいていが公安出身の人です。
      交通とか犯罪出身の人は警視総監まで登りつめることが少ないです。
      こうした事実からみても、公安がいかに強い力をもっているかがわかります。

  • 先生は、あらゆる分野に精通されている印象を持ちました。凄いことです。
    そして、ご自分の判断力に自信をもお持ちのようです

    私は北朝鮮よりの圧力の下、北朝鮮と韓国が1つになる日が来るんじゃないかと危惧しております。
    韓流ドラマの1ファンでもありますので、もしそうなれば、これらのドラマや音楽などのあらゆる文化は閉ざされてしまうのかしら??

    • 韓国と北朝鮮とが一つになる日はなかなか来ないのではないかと思っています。
      その大きな理由は、北朝鮮がロシアのコントロール下になってしまったからです。
      おそらくこれから長い間、韓流ドラマを楽しむことができますよ。

  • お疲れ様です。韓国で一番偉い人は駐韓米大使ですよね。つまり戒厳令なんてアメリカの意向がないと実施は非常に困難だと思います。アメリカは尹大統領が北朝鮮と反目することに対して異を唱えたのではないかと推測します。これは中国やロシアへのメッセージのようにも思いますがいかがでしょうか。

    • ご指摘の通り、米国の意向がないと
      韓国は戒厳令を実施することはできなかったでしょう。
      しかし、ぼくが推察するにこの米国の意向というのは、
      諜報機関の意向であってそれはおそらく、
      ディーエス達に支配されている意向であったのではないでしょうか。
      つまり、米国の本当の意向「トランプ次期政権の意向」は
      東アジアの安定を望むものであり、
      戒厳令の実施を望んでいたのではないと思います。

  • お疲れ様です
    思うのですが
    韓国と言う国は大統領歴任中 また職を辞してから
    刑罰に処される方がおおいですね〜
    大統領になる方は 自分の利益ばかり考えてるんでしょうか…
    韓国全体がそのような考えなんでしょうか…

    • 韓国の大統領は、本当に多くの人が刑事処罰の対象になっています。
      おそらく、国民の不満がとても根強い国なのではないかと思います。
      これは、韓国国民にとって決して良いことではないと考えます。

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