2026年8月18日
環境保護を隠れ蓑にした中国企業排除
フランスがファストファッションを規制する動きを見せました。環境や社会への悪影響を防ぐためだそうです。しかし、本当は中国企業の排除です。今日はこの話をします。
ファストファッションとは、最新の流行を取り入れ、低価格で大量に生産・販売するビジネスモデルです。
フランスは、2026年6月29日に「ウルトラファストファッション規制法」を可決しました。対象は、極端に安い企業です。商品1点ごとに環境負荷金を課し、広告を全面的に禁止するといったような規制を行います。中国企業「シーイン」「テム」が主な対象となっています。
環境への悪影響を防ぐためなのに、同業他社は対象に入っていません。それはなぜか。中国企業を排除するための規制だからです。
新参者に押されるファッションの国「フランス」
フランス政府機関によると、フランスはシーインに市場シェアを奪われています。2023年の国内売上高において、同社は最大のファッション小売業となりました。欧州の同業、「ザラ」「エイチアンドエム」などを超えたのです。
シーインは実店舗を持ちません。インターネットで直接販売します。そのため、店舗の家賃や人件費がかかりません。また、賃金が非常に安い国で生産しています。このため、圧倒的な低価格を実現できます(図表1,図表2)。


さて、こうした状況下で何が起きるでしょうか。
小売業の衰退と雇用の喪失です。こうした現象はEU全体で広がっています。シーインが市場シェアを奪うことで、地域の小売業が弱体化します。店舗スタッフなどの雇用喪失に直結しているのです。
また、象徴的な出来事があります。2025年11月にシーインがパリの老舗百貨店に出店しました。世界初の常設店舗です。安価な商品を目当てに長蛇の列ができました。しかし、反対派議員、業界団体、市長などによる激しい抗議活動が起きました。さらに、有名ブランドが相次いで撤退を抗議したのです。結果、この店舗は年内に閉鎖されました。自国のファッション文化を守るための排斥運動といえるでしょう。
国家の介入が消費者の首を絞める
ここで大事なことは、国家の目的が消費者の利益とは一致しないということです。中国企業が規制されれば、安価な選択肢が奪われます。消費者は実質的な値上げを強いられます。
今は中国企業だけが対象ですが、将来は「安い企業は皆排除する」という姿勢になるでしょう。かつて、日本が安価な自動車を生産するとして、米国から「自主規制」を求められました。輸出台数の制限です。その現代版だと思ってください。
このようにすれば、労働者の仕事は確保できるかもしれません。しかし、それは短期的なことに過ぎません。米国では自動車産業は衰退し、競争力がなくなっているではありませんか?高い賃金を払い続けているのが大きな理由です。
市場原理(優れた者が勝つという原則)を破れば、損をするのはその国の庶民です。しかし、今後もこのような現象は先進国を中心に起きていくでしょう。こうやって、現在繁栄している国も市場原理に逆らっていると没落していきます。



コメント