日経平均を歪めるAIの熱狂

  • URLをコピーしました!

2026年6月3日

ソフトバンク時価総額首位へ

ソフトバンク・グループの時価総額がトヨタ自動車を抜きました。22年ぶりの首位交代です。このことが象徴することは何か?AIへの過度な期待です。今日はここを深堀りします。

2026年6月1日のWBSでも報道された通り、日経平均の急騰が話題になっています。ソフトバンクグループ、たった1銘柄が日経平均を800円以上押し上げました。これが異常事態だということを理解してください。

22年ぶりの首位交代。図表1に、ここ数カ月のトヨタとソフトバンクの時価総額の推移をつけました。トヨタの株価は年初来騰落率マイナス13%です。日本経済の屋台骨である製造業が苦しむ一方で、ソフトバンクが急騰しています。AI関連株が大幅高なのです。これが22年ぶりの首位交代の真意です。

ITバブル期を大幅に超える熱狂

図表2にNASDAQ100とS&P500の比較を示しました。割り算をとっていますから、チャートが上昇しているということは、分子の上がり方の方が分母よりも大きいことを表します。NASDAQ100とは、新興企業の代表銘柄ですから、新興企業に期待が集まっていることが読み取れます。特に、赤いシャドーの部分です。青色はS&P500のような安定した株(米国の時価総額80%を占める)を買う守りの状態。緑色は、ちょうど期待と守りが半々だということを表します。

現在の数値はITバブルの頂点(2000年初頭)から1.3倍に上がっています。ITバブル期以上のバブル状態です。

図表3にはSOX指数とS&P500の比較を示しました。SOX指数は半導体関連企業指数です。NASDAQ100以上にAIの色彩の強い銘柄群です。ITバブル期と比べて2.5倍となっています。

AI経営者でも将来が見通せない

AIは実用化には程遠いのが現状です。孫正義氏は2024年10月3日に行われた特別講演で、「AGIの達成時期は2〜3年後にやってくる」と明言していました。AGI (Artificial General Intelligence:汎用人工知能)というのは、人間と同じレベルの知能を持つAIのことです。

ところが、1年半たった今人間の代替になるような正確性を持ち合わせたAIが出てきているでしょうか。出てきていません。「8月18日は何曜日か」という問いに間違えることもあります。音声も正しく聞き取れません。

これでは到底人間と同じレベルとは言えません。普段からAIをお使いの方は、よく分かっているのではないでしょうか。

孫氏も今はこれを実感しているのでしょう。最近の報道ではAGI時代の到来の時期が明言されませんでした。「必ずやってくる」と言葉を濁(にご)しています。トップ経営者でさえ、いつ実務で使えるようになるか明確な時期を見通せていないのです。期待だけが大きなバブルになっています。

相場は期待で上がり、現実で落ちます。実務レベルでの利益創出が確認できないまま膨れ上がった今の相場は、非常に脆弱です。ニュースで騒ぎ立てられていることばかりに目を向けてはいけません。過度なほどに一極集中が起きていることを冷静に見抜くことが重要です。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 過度な報道を目にしながら、
    先生の指摘を参考に、今後の成行きを
    冷静に見ていきたいと思っています。

  • いつの間にか、アメリカ株に集中してAI関連株に熱中、日本株に目を向けたら
    余りにも高くなっていたので手も出せない状況、恐ろしい。

コメントする

コメントにつきましては、会員様の特定ができず、内容に応じた正確なご案内が難しい場合がございます。
そのため、林先生へのご質問や、サポートチームへの個別のご相談につきましては、メールまたはLINEにてお送りいただけますようお願いいたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる