2026年3月31日
大金持ちしか得にならない
「実質負担2,000円で、金(ゴールド)が手に入る」
この言葉を聞けば、多くの人が魅力的に感じるでしょう。返礼品として、食品やトイレットペーパーを選ぶのはいいですが、ゴールドはやめましょう。
ゴールドについては、ふるさと納税制度の恩恵を受けられるのはごく一部の富裕層に限られます。
ふるさと納税とは税金の値引き
基本のおさらいをしておきます。
本来、税金というものは私達の住民票がある自治体に支払われるものであり、見返りはありません。しかし、それでは人口の多い大都市の行政が潤い、地方はどんどん衰退していく流れになってしまいます。これを阻止すべく始まったのがふるさと納税です。
この制度の最大のメリットは、ただ支払うだけだった税金(所得税・住民税)の一部が控除された上で、返礼品が得られるという点です。これを活用することで、自己負担額実質2,000円で様々な地方の特産品を入手できます。
ここで覚えておきたいことは、「自治体でも競争となれば、値引きをする」ということです。従来は、税金は政府や自治体に納税するものであり、値引きはありませんでした。受け取る方は当然という顔をして踏ん反りかえっていました。
ところが、制度が導入されるや、各自治体がこぞって、「うちの自治体に寄付してください。こんないい返礼品を用意しています」と宣伝を始めました。私たち納税者は一番いいものを選ぼうとします。
競争原理が導入されると値引き(税額の実質減額)合戦が始まるのです。自治体は以下の図表1に示したように、令和6年度、7年度において、平均的に25%~27%の実質値引きをしたのです。
金の還元率が低すぎる
ふるさと納税の返礼品に金製品を選ぶとどうなるでしょうか。注目すべきは、「還元率の低さ」です。図表1です。

お米や肉などの還元率はおおよそ30%の水準です。総務省によって、還元率の上限が30%に定められているためで、自治体としては、少しでも寄付を集めたいので法のギリギリを狙います。
これに対して、金製品は高くても約26%となっています。
金製品は日々価格が変動します。価格変動リスクを考慮する必要があり、割高な設定がされてしまっています。
年収別の損得勘定を見てみます。図表2です。年収(収入)によって損益が大きく変化します。控除の上限が年収によって決まっているためです。

例えば、年収300万円の場合、最も安価な「ミニ小判(寄付額5.5万円)」を選んだとしても、控除上限額(1.9万円)を超えてしまいます。
その結果、枠をはみ出した約3.6万円(5.5万円から1.9万円の差額)は税金の控除に使えず、「純粋な自腹(ただの寄付)」となってしまいます。市場価値が7800円ですから、自腹36,000円となれば、差し引き28,200円だけ損になります。
年収500万・1,000万であっても、利益が出るのはミニ小判だけであり、その金額も決して大きくはありません。
投資家としての視点を忘れずに
図表2の最下段にあるように、年収2,500万円クラスの富裕層であれば、豊富な控除枠を使って「金貨」を選び、8万円の利益を生み出すことが可能になります。
しかし、彼らでさえ商品選択を誤り、還元率の低い「ペンダント」を選べば、66万円の損失状態になります。還元率が最大の「文鎮(ぶんちん)」を控除上限額内に収めようと考えた場合、年収は、1億円以上必要になります。
大金持ちしか得をしない。このことがよくわかるでしょう。
常に「数字」を見ていきましょう。最大限利益を創出できる方法を模索する癖をつけることが大切です。



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