明星食品の価格5段階戦略
今日は食品値上げが進む中で、庶民の生活が苦境に立たされている実態についてお話いたしましょう。
昨年末のクリスマス、皆さんはどのように過ごされたでしょうか。ある調査によれば、昨年末クリスマスの平均出費は16,329円でした。これは、昨年の経費の22,588円から27%の減少でした。

一つの理由は、年末にかなりの人たちが9日連休をとったことです。そこでの出費を見込んで、クリスマスの出費を控えめにしていた可能性があります。しかし、最も大きな理由は、ここまで食品価格が上がってくると、クリスマスの出費は抑えざるを得ないという事情があったと考えられます。
帝国データバンクによれば、今年の1月から4月における食品値上げは、決まっている項目だけでも6121品目あります。これに対して、前年同期では3891品目でしたから、大幅なアップになっていることは明らかです。

こうした状況に対して、企業はどのように対処しているのか。その戦略を明星食品のラーメン戦略からお話します。ご存知のように、明星はチャルメラや中華三昧といった有名ラーメン銘柄を持つ大手食品メーカーです。
この会社はカップラーメンの価格を5段階に分けています。中心はレギュラーと言われる250円台のものであり、ここが長年の定番でもあり、ボリュームゾーンです。これに加えて、高価格線があり、行列のできるラーメン店とコラボして、その店の味に近いものを売っています。価格は300円以上です。

これに対して、低価格商品は3種類あります。一番安いものは140円未満の超低価格で、具の入っていないラーメンや素うどんを提供しています。これを購入する人は、おにぎりや唐揚げといった、それ以外の食品を購入し、ラーメンをスープ代わりに食べる人が多いようです。
そして、低価格の中に格安プレミアム商品群があります。レギュラー品目と価格は同じ250円ですが、大盛を提供しています。具体的に言うと、麺が大盛なのですが、その分、具とつゆを減らしています。麺は粉ものなので、具や出汁に比べて安く製造できます。働く男性に受けている商品群です。
低価格のメインは140円です。250円のレギュラー品からすると、かなり安いです。具や出汁、麺の質を落とし低価格を実現しています。
この図表2からわかるように、低価格帯に三つの商品群を供給しています。つまり、明星は低価格分野こそが、これからの主戦場であると考えているわけです。庶民の苦しい台所に対応した取り組みです。
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