マンション価格下落は社会の二極分化の現れ

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2026年7月1日

住宅価格の暴走に耐えかねた庶民の悲鳴

東京都心6区の中古マンションの平均価格が、前月比マイナス0.2%に転じました(2026年2月の東京カンテイのデータ)。連続上昇記録が、37カ月ぶりに止まったのです。今日はこの理由について話します。

価格が下落に転じた理由は何か?

簡単に言えば、買いたい人より売りたい人が増えているからです。その傾向が現れているのが図表1です。

東京都の在庫が急速に増えていることがわかります。転売の低減が理由です。

従来は転売が横行している状態でした。国土交通省によると、都心6区における新築マンションの短期の転売率は12.2%に達しました。新宿区に至っては約20%が短期で転売されていました。

「買えば値上がりする」という期待から、転売の儲け狙いで買う人たちがマンション市場に群がっていました。実際、価格が実際に大きく上がったのです。特にタワマンと呼ばれる大規模マンションほど転売の割合が高く、価格が大幅に上昇しました

しかし価格が上がりすぎました。本当にマンションを求めている実需層の購買力の限界を超えたのです。「もう儲からない。利益を確定させよう」という人たちが一斉に売りに出し、転売市場の動きが止まり始めました。その結果、市場に物件があふれるようになったのです。これが在庫増大の理由です。

買い手の減少も大きな理由です。裏にあるのは金利の上昇です。

日銀は長期金利の上昇に合わせて、2025年12月に0.75%、26年6月頃には1%まで短期金利を引き上げました。金利が上がれば、住宅ローンの金利も上がります。毎月のローンの支払い負担が跳ね上がり、多くの世帯の生活設計が圧迫されます高い物件には手が出なくなっていきます

庶民は周辺3県へ移る

これまで都心に住んでいた人々のなかから支払いに耐えきれず、周辺地区や郊外へと移り住む人が増え始めました。経済的な余裕がない層にとって、都心は「住みづらい街」になりました。

埼玉県・千葉県・神奈川県を見ると、在庫が減少傾向にあることがわかります(図表2)。売りに出された物件が、順調に買われています。明確な都心離れが起きていると言えるでしょう。

社会は二極分化の傾向にあるのです。全く同じことが米国にも起きています。富裕層だけがゆとりのある生活を送れる世の中が長く続くはずがありません。富裕層以外の一般層を苦しめる社会になってしまうと、景気が全般に悪化していきます。その兆候が37カ月ぶりの中古マンション価格下落に現れていると考えてください。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 今から約40年前のことです。当時、社員持株会を通じて1株3000円で購入した自社株が、あっという間に8000円まで急騰しました。私はその売却益を元手に、大宮駅から徒歩15分のハイツ(集合住宅)を購入。すると、わずか1年後にその物件が購入価格の1.8倍で売れ、その利益で千葉の郊外に一戸建てを購入することができたのです。
    さらに幸運なことに、その一戸建ても値上がりしたため、それを原資にして、もう少し都心に近い沿線に注文住宅を建てました。その後バブルが崩壊し、紆余曲折はありましたが、現在はその時建てた家に暮らしています。当時は「あのイケイケの時代に、思い切って東京都心の不動産を買っておけばよかったな」と後悔したこともありました。
    そんな中、最近目にしたのが「庶民の都心離れと周辺3県への移住」を取り上げた林先生の記事でした。
    この記事を読んで、ストンと腑に落ちるものがありました。というのも、私の自宅周辺では、現在進行形で新築一戸建ての売り出しラッシュが続いているからです。近所に新しくできた家の駐車場を覗くと、ずらりと高級車が並んでいます。失礼ながら、一目で「都心から流れてきた余裕のある層だな」と分かります。
    かつて都心に買えなかったことを悔やんだ私の街が、今や高級感の漂う街へと変貌しつつある。まさに今、明確な「都心離れ」の波がここに押し寄せているのを、肌で実感しています。

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