種苗会社は将来有望になる可能性

  • URLをコピーしました!

金曜日にコメとパンに関する「今日の気づき」を書いたところ、それに関連して種苗会社に関する質問が来ましたので、これについてお答えします。

種苗会社は将来性があります。その理由は種苗法の改正(2022年4月)です。種を開発した業者に大幅な権限が与えられることになりました。農家(種の使用者)との力関係が大きく変わります。

改正の注目したい内容は以下の通りです。

種苗会社が農家に要請できるようになったこと:

  1. 種の海外持ち出し制限(輸出先国の指定)
  2. 国内の栽培地域の指定
  3. 登録品種の自家増殖は種開発者の許諾が必要
  4. 登録品種の表示の義務化
  5.  

民間の代表的な銘柄はサカタのタネ(1377)とカネコ種苗(1376)です。

種苗会社は権限が強まったのですから、これまで以上に新品種の開発に力が入るでしょう。新商品(例:温暖化や豪雨に強い品種)を次々に打ち出してくるでしょう。このことは当然ながら収益を引き上げます。

また、種の価格を引き上げることも可能になってくるでしょう。「もう少し分け前を増やしてくれ。そうでないと、売り先や栽培地域などに対して、今までの方針を認めないぞ」と暗示することができるようになりました。

では今が買い時なのか?

これは違います。

最大の理由は、まだ種苗法の改正の恩恵が種苗会社に現れていないからです。新品種の開発には時間がかかります。サカタのタネ(1377)、カネコ種苗(1376)とも前期(2024年5月期)の経常利益が減益です。下に業績を示しました。

直近の決算が減益の会社は買ってはいけません。これは重要な原則です。

時期が来れば増益基調に転じるでしょうから、その時点が最善の購入タイミングとなります。

なお、最後に「どうして種苗会社の権限を強めるような法改正が行われたか」について記しておきましょう。実は、権限を強めたのは民間の種苗会社のみならず、国なのです。

具体的に言うと、種の多くは農業試験場などの国や地方自治体の出先機関が開発していますので、政府が農家を監督する権限を強めたということです。いつものことですが、政府は「自分が取り締まると世の中が良くなる」と信じています。庶民(この場合は農家)の自由はだんだんと縮小される方向にあります。

2024年5月期の通期決算 前年同期比

銘柄サカタのタネカネコ種苗
コード13771376
売上15%-1%
営業利益-4%-17%
経常利益-10%-18%
純利益70%-17%

コメント

コメント一覧 (5件)

    • 福田さん
      いつもぼくのコメントの要点を掴んでくれてありがとうございます。
      見ている投資部のメンバーもとても参考になります。

  • どうしても今オンライン学習ガドウシタラできるのかわかりません。。教えてください。

    • 加藤さん
      見方がわからないのでしょうか?
      それとも、システムのことで戸惑っていらっしゃるのでしょうか?

      情報の中身についてであれば、ぼくにご連絡ください。

      システムのことでわからないことがあるようでしたら、
      サポートチームから連絡をさせます。

      もう少し、状況がわかるように教えて下さい。

  • 新しい機能を持っている種苗開発は、製薬会社の新薬開発中はコストが嵩むから財務状況が悪くなるのと似てますね。
    利益が出るのを見通せてからの買い、了解です!

    この規制ができた原因は、
    近隣の外国の人たちによる
    シャインマスカット
    ブランドいちご
    ブランド牛
    など日本で開発した種苗の持ち出し等が原因だった気がします。
    農業試験場等が日本の農業の利益のために作った人気のある品種なのに、美味しいところだけ取られてしまった苦味の教訓だったような。

    種苗に限らず、
    ゲームチェンジや新規技術など、
    特許や登録商標とってクローズドにするか広く発表して直接ではなく二次的にうまく利益を取れる構造にするかなど、うまくやらないとアイディアが盗まれて本当は利益を享受すべき人ができなくなるから、法律で守るというのもあるのかもしれません。
    クローズドにしないと利益がひどく侵害される場合や、ディズニーなどにも見られる登録商標があるもののバッタモノや、他国で作ってるのに日本を経由させて日本製と偽って日本のクオリティに対する信頼度を貶めているなど、次から次に問題が起こってるようですね。
    私は知的財産権などについては専門外なので詳しくはわからないですが、
    実体験として、
    Amazonでブロワー買おうと思ったらマキタのパチモノだらけ(マキタのロゴまでつけてあるのに!)でまともに動くのを入手するのに何ヶ月も何万円も無駄になって、正規店を探す方が難しかったのも、本当に困ったので、開発した側だけではなく消費者側も不利益になる場合がある。

    各自が正当な合理性を弁えて、無駄に法律を増やす必要なくなるような素敵な世の中になったらいいのに。

    IHIの液化ガス技術のように、本当は日本の会社が発明したのに、欧米の会社に横取りされて、なぜか開発した側が使用料払ってその技術を使わないといけないなんてことも、そういう知的財産に対して悪い意味で寛容だった日本は憂き目にも遭ってるので、世知辛いし、便利にするためのはずなのに使い方を悪用する人もいるために逆にますます時間も労力もお金も不便になるけど、気をつけないといけないですね泣

林 則行 へ返信する コメントをキャンセル

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる