米政府の倒産が心配されている

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2025年10月15日

株価最高値でもCDS価格が高い

米国政府の倒産に対する心配が投資家の間で高まっているという話を本日はいたします。

それは、CDS価格の動きに現れています。

CDSとは、クレジット・デフォルト・スワップのことで、債券発行体(この場合は政府)の信用リスクを表わすデリバティブです。

債券価格(米国債の利回り)に関係なく、信用リスクのみを扱うもので、政府のデフォルト(債務 不履行)への「保険」と言えます。

CDS価格(保険価格)が高い方が信用リスクが高いという意味です。

これと似たものにはジャンク債金利があります。ジャンク債金利は弱小企業ほど金利が高いです。

CDS価格とジャンク債金利とは、長期的に似たような動きをしています。

ジャンク債発行企業の倒産確率が高まるような経済状況では、政府の倒産確率も高まるということです。

しかし、詳細に見ると、両者はやや異なる動きをしています。

図表1です。

具体的には2008年10月から、2012年末(青色シャドーの時期)までは、ジャンク債発行企業と政府との倒産確率が似たように動いている時期です。

これに対して、2013年から2022年末(赤色シャドーの時期)はジャンク債発行企業よりも、政府の倒産確率が低いと思われている時期です。CDSの価格が低めに推移しています。

最近については、ジャンク債金利に比べてCDSの価格が上になっていることがわかります。つまり、政府への信頼が揺らいでいるのです。2025年の5月にCDS価格は、59という価格をつけています。

トランプ政権によって、関税導入が進み始めた時点です。関税による国庫収入が増大しているにも関わらず、投資家は政府の倒産を心配していることがわかります。

現在はNYダウ平均が最高値付近になっています。景気は絶好調なはずです。こうした状況下でもCDS価格が高いのですから、今後株価が下がるにつれて、CDSはさらに価格上昇を続けていくものと思われます。

リーマンショックの際は国債利回りが低下しました。別の言い方をすると、国債が買われたということになります。

これに対して、これから生じる不況においては、そうはいかなくなっていくというのが、CDS価格の示すところです。

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