2025年9月18日
外食が安い
今日は日本人の食生活が困窮している実態についてお話しします。
日本の国民食といえば、カレーライスです。カレーライスの原材料価格が大幅に上昇しています。
図表1に2022年からのカレーライス価格の推移(ならびに物価上昇率)を記しました。
これは帝国データバンクによるカレーライス指数によるものです。

具体的に言うと、自分でカレーライスを1人前作る場合441円かかります。これは前年323円から37%(実額118円)も上昇しています。過去10年で最高です。
118円の値上がりの中で、大半を占めるのはごはん(ライス)価格です。前年5月(94円)からは+98円・約2倍の192円と大幅に上昇しました。
現在、外食価格を調べてみると、すき屋の普通盛りカレー490円、吉野家の普通盛りカレーは498円です。チェーン店は材料を大量に仕入れるので、原材料を個人で調達するのに比べて安価にできるのです。
自炊の場合は、441円に自分で作る手間賃は入っていません。さらに、食べ終わった後の洗い物の面倒がありますし、材料を買うと材料が余ってしまうことがあります。これらを考慮すると、「外食の方が断然いい」と結論できてしまうのです。
この結果、どうようなことが起きているのか?
当然外食が増えます。
その結果、庶民層が足しげく通う外食チェーンでは既存店の売り上げの伸びが著しくなっています。
図表2に松屋、図表3に吉野家の前年同期比の推移を記しました。


既存店の売上の伸びとは、1年以上前から営業している店について、1年前と現在の伸び率を比較したものです。いったんある場所に店を出すと、その周辺に地縁のある方々の数は増えることはないし、一回あたりの支出も増えません。従って、既存店の伸びは1~3%あれば「順調」と呼ばれます。これに対して、最近では10%近い伸びを示しています。
外食チェーンの既存店売上が伸び始めたのは2021年初めからです。大きなマイナスが少しずつ改善していった時期です。
図表4を見ると、消費者物価の食品価格がこのから上がり始めたことがわかります。消費者が価格にとても敏感だという証拠です。

リーマンショックの際に、多くの株は6割下がりましたが、マクドナルドの株はほぼ横ばいで推移しました。相対的にみて、驚異的な高パフォーマンスでした。
その理由は皆が貧しくなって、マクドナルドでの外食を増やしたため、不況期に同社の利益が増えたためです。同じことが起き始めたと言えるでしょう。
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