消費者物価は二重構造

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2025年11月6日

賃金が上がらず物資が高くなる

今日は消費者物価の上昇について考察します。

消費者物価の上昇が続いています。これは私たちが日々生活をする中で感じていることです。東京都区部の2025年10月の消費者物価は2.7%の上昇(前年同月比)となりました。

図表1にあるように、消費者物価の中身は大きく二極化しています。

➊2025年10月現在、モノの価格は前年同月比4.1%と大きく上昇しています。モノの価格とは、文字通り、食品を中心に目に見える形をしているものです。

基本的な理由は原材料の価格高騰です。2020年初と2025年9月を比べると、ドル建てでの上昇幅は珈琲199%、オレンジ153%、天然ガス99%、銅66%、アルミ50%、砂糖39%、大豆33%といったところです。これらを原材料とする製品は当然ながら価格上昇が大きくなります。

ちなみに、同じ期間において、銀138%、金135%の上昇です。統計値は世界銀行の調査に基づいています。

加えて、円安が輸入価格を引き上げています。2020年初は109円だったのに対し、2025年9月末は148円となっており、36%の円安です。

そのため、金を例にとれば、日本での価格は135%X1.36となり、184%の上昇だったことがわかります。(135%+36%=171%といった足し算ではありません)

❷一方、サービス価格の上昇は1.6%と比較的穏やかな伸びにとどまっています。

サービスの基本を成しているのは人件費です。2025年8月(最新の統計)の名目賃金は1.6%の伸びでした。サービス価格が伸びないので、賃金の伸びも小さめです。

事実、企業は人件費を抑えようと機械化、コンピュータ化、AI化を進めています。その結果、サービス価格の上昇を抑えることに成功しています。価格を抑えれば顧客離れを防ぐことができるので、企業にとってはいいことです。また、価格上昇が穏便なレベルなら、消費者にとってもいいことです。しかし、働く人たちにとっては、賃金があまり上がらないという問題が生じています。

当面はこの傾向が続くでしょう。私たちは賃金がそれほど伸びない中、生活物資の価格高騰に悩まされることになるでしょう。

コメント

コメント一覧 (8件)

  • それにもかかわらず アメリカも日本も多少の調整安を取り込んだ後 さらに株価指数は上昇している現状です。多くの企業の株価が下落しているにもかかわらずAI関連の企業を中心としたごく少ない企業同士が資金をぐるぐる回し合いながら、相乗効果を生み出して圧倒的な株価上昇を遂げていますが、今の時代、ここにもAI そのものの知恵が関与しているのでしょうか。この悪(知恵)循環のどこかが破綻した時には世界的な大暴落に繋がることになるのでしょうか。

  • 低賃金のなか、息子達は、子供二人数でまだ小学生ですが、上の孫は来年中学生です。息子は45歳過ぎで役職もやっていましたが、訳有って
    (心身困憊状態)昨年退職しました。当然僅かな嫁のパート収入だけでは、家計が回らず貯蓄崩しの生活で、私が買い物に行く度に主食、副食、子供のおやつ等々差し入れしています。

    息子の精神もようやく安定し、知り合いの先輩の紹介で今年の夏から新しい会社に勤めて、定時+規定時間の残業で「人間らしい?」生活を送っています。

    任せられた仕事の経理などは、先の会社で経験が有るのでできているようですが、何分にも畑違いの新任で給料も低く、学ぶことばかりのようです。
    引き続き家計は大変そうですが、ようやく父親らしい生活になり、家族皆が喜んでいます。

    こんな状況からも、パートタイマーを含む賃金の底上げ、扶養者控除の上限引き上げ、食料品の減税、勤務時間の徹底等々、色々が頭をよぎりました。

    高市さん、日本が早く『真面目に働けば、安定した生活ができる』国作り、創りをして下さい。
    切り詰めた生活者を支える貧しい高齢者より。

  • 賃金は上がりませんね、企業は内部留保でどんどん膨れています。起業しても成功率は上がりません なかなか難しいです

  • 初めて投稿します。私は高山市に住んでいますが、インバウンドで毎日混んでいます。今日お尋ねしたいことがあります。アメリカのストリップス債30年を持っています、これから金利も下がるのでストリップス債の価格は上昇すると証券会社の人は言うのですが、どう考えたら良いでしょうか。

    • 私もケケケのケンジ様と同じ理屈でアメリカのストリップス債30年等々の米国債やドル建て債券をかつてだいぶ仕込んだのですが、数年前、「林さんファンクラブ」時代に林先生に相談して、納得して泣く泣く三回に分けて売却して損切りしました。
      ゴールドが上昇する理由を勉強する中で、なぜ債券が危険なのかも見えてくると思います。(一つは、2022年のバイデン政権によるドルの武器化」というヘタを打ってから、米国に対して(日本よりも、より)健全な距離を保つ多くの国が、「米国債を手放す」動きに加速がつきました。この流れは、おそらくは次の覇権通貨体制が確立されるまでは変わらないと感じます)
      私はSBI証券で購入したのですが、相対取引で手数料も馬鹿高かったため、買った瞬間から損失が膨らみました(それまでは、インデックス投資で手数料に対する警戒感が薄れていたので、思わぬ失敗でした)
      数年たった現在も、同じような水準を行ったり来たりで、あの時に損切りしておいて本当に良かった、と林先生に感謝しています。
      もちろんその後、ゴールド投資に切り替えて、有り余るほどの収益が出ています。

  • 輸入食品とコーヒー販売の会社でパートをしています。
    毎月何かしらの物が値上がりしていますが、会社自体の利益が上がっているとも思えず時給も都道府県の最低賃金です。首相が代わったとして何処まで持ち直せるか不安です。
    そして、ニューヨーク市長が代わりましたが有色人種に厳しくましてイスラム教徒である新市長に対して反発がどこまで有るのか経済政策がどれだけ有効か気になるところです。

  • 現在の日本国経済及び社会情勢は、人災と呼ぶべきものであると考えています。あまりに常軌を逸した政策や、国民を無視した年金の減額と、かたや最高額の収税をしながら東日本や能登半島を含め、国民の普通の生活水準を保持する努力はせず、諸外国には二言三言交わせば何千億、何十兆円という単位を惜しげも無く捧げる。
    このような時代だからこそ、国民の普通に働ける場所の整備や確保、そこで働いた分を正統に国民に還元し、将来的不安を煽るのでは無く、不安を軽減する施策の整備を願いながら、同時にこれから来るであろう暴落恐慌の時代にも、互いに余力を身に付けていく同士として、励み合いたいと思います。

  • ケケケのケンジ様
     私もケケケのケンジ様と同じ理屈でアメリカのストリップス債30年等々の米国債やドル建て債券をかつてだいぶ仕込んだのですが、数年前、「林さんファンクラブ」時代に林先生に相談して、納得して泣く泣く三回に分けて売却して損切りしました。
    ゴールドが上昇する理由を勉強する中で、なぜ債券が危険なのかも見えてくると思います。(一つは、2022年のバイデン政権による「ドルの武器化」という悪手を打ってから、米国に対して(日本よりも、より)健全な距離を保つ多くの国が、「米国債を手放す」動きに加速がつきました。
    バイデン政権がやったことは、
    「俺の言う事聞かないなら、全部帳消しだぞー!!」
    というジャイアンみたいな横暴な対応でした。
    この流れは、おそらくは次の覇権通貨体制が確立されるまでは変わらないと(個人的にも)感じます。
    私はSBI証券で購入したのですが、相対取引で手数料も馬鹿高かったため、買った瞬間から損失が膨らみました(それまでは、インデックス投資で手数料に対する警戒感が薄れていたので、思わぬ失敗でした)
    数年たった現在も、米国債チャートは同じような水準を行ったり来たりで(あれ以来、数年間ずっとチャートをウォッチしていますが、危ない感じです)、あの時に損切りしておいて本当に良かった、と林先生に感謝しています。
    もちろんその後、ゴールド投資に切り替えて、損切り価格から有り余るほどの収益が出ています。

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