2025年11月5日
トランプの姿勢で明らかに
2025年10月30日、米中首脳会談が韓国で行われました。会談は圧倒的な中国側の勝利でした。
今日はこの理由を説明します。
国際情勢を考える時は、「首脳らの発言や合意の内容で考えないようにする」というのが鉄則です。大事な内容を故意に抜かしている可能性があり、合意の解釈もさまざまできるからです。これに対して、会談の場所や時間の長さは偽(いつわ)ることができません。偽りが許されない事実を手掛かりに考えていくのが賢い方法です。
会談は韓国の飛行場で行われました。米国大統領が中国主席の到着を待ちました。また、会議会場にも米国大統領が先にやってきて、中国主席を出迎えました。中国が上です。両国の立場がはっきり現れています。
また、米中会談は1時間40分でした。
これまでの米中会談と違い、時間が圧倒的に短かったです。前大統領時代には3~4時間の会談が行われていたのと対照的です。
米国はそれしか中国に時間を割いてもらえなかったのです。米国側の日程は帰国するだけですから、時間を延長することはできました。中国側が了承すれば、もっと早めに来てもらうこともできたはずです。(なお、1時間40分は日中会談の40分に比べれば長いです)
トランプ大統領は中国に課す相互関税を10%に引き下げると言いました。日本やEU、韓国が15%ですから、それ以上に中国を歓待していることになります。
また、来年にはトランプが中国を訪問することが合意されました。来年4月との報道です。これに対して、中国主席の訪米はそのあとであり、期日未定です。立場の弱い者が強い者を先に訪れるのは、社会一般でも同じです。
米国はどうしてこのように低姿勢に転じているのか。ここからは推論になります。
米国はドル崩壊を恐れているのです。金価格が4000ドル以上に高騰した最大の理由は新興国中央銀行の買いです。代表は中国です。
貿易のために、各国は外貨準備を保有します。この多くは、通常、ドル債です。しかし、新興国は、「ドル債は安全ではない。あまりに債務が多すぎる。利子の支払はおろか元本の返済さえ滞る事態が訪れるかもしれない」と思い始めています。新興国は過去に自国の債券がデフォルトし、大きなインフレを起こしてしまった経験があります。その経験から、「貨幣は崩れやすい。基軸通貨とはいうものの、ドルだって信用できない」と思っているのです。
トランプ大統領は「これ以上、ゴールドを買わないでくれ」という懇願し続けてきたでしょう。ただし、当日の議題にはしなかったはずです。会議には大勢の部下たちが出席したためです。どこからリークされるかわかりません。
「ゴールドを買ってくれるな」という懇願は事前のTV会議の席(1:1)で話し合われたものと思われます。
トランプはAPEC会議の開かれた韓国を訪れながら、その会議には出席せずに帰国しました。アジアにやってきた理由は1時間40分にあったと言っても言い過ぎではありません。



コメント
コメント一覧 (8件)
林先生
中国中央銀行が金を買わないとなると今後金価格は下がる?かこれ以上あまり上がらないとゆうことになるのでは?又米国債も売らないと、関税10%と引き換えに取引があったならドルの信認も落ちず金の値上がりは予想と違ってきませんか!
私は先日、清水の舞台から飛び降りる勇気で、「神戸ビーフを味わう」と言う贅沢に手を出してしまいました。(^◇^;)
目の前でフィレ肉を焼いて貰いながらグラスワインを傾けるとは、夢にまで見た贅沢です。
貴重な経験をしたと思います。
その経験から、林先生の「補助的な部分」の、ご指摘を興味深く拝見しました。
尚、窓際サラリーマンから定年後再雇用に移行した小生は、贅沢をした翌日から、爪に火を灯す生活に戻ったことは、言うまでもありません。( ̄▽ ̄)
こんな経験が今後もできるよう、投資部!頑張ります!!
贅沢は、素敵だ! ( ◠‿◠ )
投資家タマゴン 様
この度は長い御勤めを無事果たされまして本当にお疲れ様でございました。
そして、新しい人生の出発をされることを心よりお慶び申し上げます。
これからも何よりも健康に留意されてご活躍されることをお祈りいたします。
国際会議が相場の転換点と言うのは今までがそうでした、なんだかトランプ二期はおかしい!
わざと無茶苦茶やっては相場や世界がどう反応するか探ってる感じ、それ以前に日本には大災害が待ってるのでどうしたものか
国際会議は相場の転換点?延長確認?
先生のコメントみて新聞テレビで言われないことの重要ポイント興味深く読みました思った事ない為正直びっくりしましたまだ講義聞き始めで必死できいてます皆さんのコメントみるのが楽しみです
レアアース禁輸解除、今まで否定してたフェンタニルへの関与を認め、今後は関与しないことを認めるなど、中国側も相当な譲歩をしてるように見えます。面子を重んじる国がフェンタニルへの関与を認めたことは、とても大きな出来事なのですが、報道ではほとんど触れられてません。
報道への不審は益々強まりました。
今回の米中会談の結果は、トランプ大統領にとってもは、望外の勝利だととらえてると思いますよ。お礼を言うために中国に対して低姿勢で会談に臨んだ。面子を重んじる中国は、対談方法などで自分が上手に出たようなポーズを取りましたが、交渉内容自体はアメリカの完全勝利だと思ってます。トランプ嫌いのマスコミは中国が勝ったと買いてますが。