2025年9月2日
318A価格下落の意味
今日はVIX価格についてお話しましょう。
VIX先物・CFDや318Aは、普通の株価の値動きとは違う構造になっています。これをグラフに表したのが図表1です。

VIX指数そのものは取引できません。VIX先物(またはCFD)は売買することができます。この先物の商品寿命は約1ヶ月です。図表1に示したように、VIX指数がこれからの1ヶ月間ずっと15ドルだとしましょう。つまり、この間NYダウはずっと価格が変わらないという前提です。
この場合、1ヶ月前には、17~17.5ドルだったVIX先物・CFDは、最終日(つまり1ヶ月後)には価格が約2ドル程度下がって、15.5ドル程度になります。
これはどういうことなのか。VIX先物価格とは「1ヶ月後の最終日にVIX指数がいくらになるのか」を当てるゲームです。
指数価格が15ドルというのは、かなり市場が楽観的なムードになっている状態です。長期の平均値を取ればVIX指数は20ドルを超えるので、現状はある意味で割安です。したがって、「1ヶ月の間には、相場に悪いことが起きる(ドスンと下がる時がある)だろう。悪いことが起きれば、VIX指数は簡単に上昇するだろう」と考えます。
そうした理由から、投資家は、VIX先物価格について、指数から2ドルまたは2.5ドル上の価格をつけます。ところが、先物の最終日が近づくにつれて状況が見通せるようになってきます。例えば、最終日まであと数日以内になると、「指数が15から17ドル上昇する確率は低い」と皆が思うのは当然です。
このため、先物価格はVIX指数そのものである15に限りなく近づいていきます。こうして、1ヶ月前には2ドルあったプレミアムがだんだんと小さくなっていくわけです。
こうしたことが毎月起きます。
図表2に移ります。

翌月もVIX指数が15のままで推移するとしましょう。株価も2ヶ月間全く同じ価格だという前提です。この場合、新しいVIXは、やはり17~17.5ドル程度でスタートします。旧月から新月にかけて、ロールオーバー(古いものを売り、新しいものを買う)をする際に、2ドルほどのコストを払わなければならなくなります。
ロールオーバーの度に2ドルのコストを払うのが大変なので、皆様に先日提示したVIX、機械的売買法においては、営業日20日(土日を含めると約1ヶ月)でトレードをするように設定しました。現実的には20日で手仕舞う必要はありませんが、2か月を超えた保有はコストがかさんでいくため、手仕舞いを考慮すべきです。
これに対して318Aには、限月交代がありません。商品寿命は永遠無限に続いていきます。この場合は、図表3にあるように、仮にNYダウ指数が日々同じだとすれば、318Aの価格は日々下がっていくという傾向にあります。

こうした点を考えると、318Aについても、トレードの期間は、1ヶ月から2ヶ月にしておくのが良いということになるでしょう。
このように見ると、「VIX指数・CFDならびに318Aは、価格が下落していく商品なので、大きなリスクを伴う」と誤解する人がいるかもしれません。しかし、それは間違いです。15ドルという価格があまりに安いので、人々がVIX先物・CFDについて17~17.5ドルという価格をつけているという事実を忘れてはなりません。通常は1ヶ月から2ヶ月の間に20を超えることはよくあることであり、また25ドルになることも決して珍しくありません。
特に株価が天井圏にあるときは、大きな波乱が起きてもおかしくありませんから、現在のような状況下では25ドル程度までは上がるでしょう。
その際、318Aも大きく上がっていくと考えられます。VIX指数が15ドルからドルから25ドルに上がれば、この上昇率は67%ですが、318Aは、図表3にあるような事情により、そこまでは上昇はしないでしょう。おそらく40~50%の上昇にとどまるのではないかと思います。
正確にいくらで売るのがいいか、ということはわかりません。318Aの売却についてはVIX指数の価格が20ドル~25ドルになった時に行なうのがいいということです。
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