米国物価は上昇へ

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2025年7月10日

ドル安が最大要因

今日は今後の米国の消費者物価についてお話しましょう。
米国消費者物価は、今後は上昇基調に戻ると考えています。

➊日米物価に大きな違い発生

図表1に、日米の消費者物価の推移を記しました。

米国では2020年5月から上昇が始まり2022年6月には前年比9.1%の上昇となりました。しかし、その後低下傾向が続き、現在では2.4%になっています。

一方、日本の消費者物価は、2022年初めから上昇がスタートしました。世界の景気が連動するので、日米以外のG7各国でも同様に上昇傾向となっていました。

このあと、日米に大きな相違が始まりました。2022年6月以降、米国で上昇率(前年比)の低下傾向が始まったのに対し、日本では上昇傾向が続きました。日本の物価上昇は2023年1月(4.3%)まで続き、その後は横ばい圏となりました。現在では3.6%となっています。この水準は米国を抜くものです。

❷為替が物価を左右する

世界の景気が連動する中、どうしてここまで大きな方向性の違いが生じるのか。その大きな理由は、為替相場がドル高・円安になっていることにあります。

図表2に日本の物価(青線)と為替レート(赤線)を記しました。

話を進める前に、図表の見方を解説しておきます。為替レートが円安に振れると、赤線は上昇傾向になることを覚えておいてください。物価と為替が同方向になっているのは、円安により日本への輸入品価格が上昇し、それが日本の物価を押し上げているためです。

アナリストによれば、円安が10%進むと日本の物価が1%上がると試算しています。そのように考えると、3.6%という物価上昇のうち半分は円安からきているものと考えられるでしょう。為替上昇分を差し引いた国内物価の上昇率は2%を割り込むことになるでしょう。

図表3にG7各国の現時点での消費者物価を示しました。

日英以外は2%台かそれ以下の水準です。為替レートが日本ほど低下しなかった各国の物価が比較的安定しているわけです。

ここまでの解説でわかることは、為替の水準が、大きく国内の物価を左右するということです。

❸下がり始めたドル相場

図表4にドルインデックス(ドルの全世界の通貨に対する平均為替レート)を記しました。

ドル安が始まっていることがわかります。米国の景気悪化を受けたものと考えられるでしょう。

米国のドル相場が下方に向かうのであれば、米国の物価が上昇方向になってしまいます。さらに、トランプ関税によって、物価上昇は避けられません。

消費者物価の再上昇は米国企業の業績悪化へと繋がるでしょう。最終的には株価の下落に繋がっていきます。このように考えていくと、米国株価に対して厳しい見方をとるべきであることが明らかでしょう。

コメント

コメント一覧 (7件)

  • ・・・普通に生活しているのに、以前より、財布の中身の減り方がハイスピードになっている実感があります。

    子育て世代も大変でしょうが、今年定年を迎える私のようなオジさんも心労がつのります。
    今更、デフレ経済からインフレ経済に変わりますって言われても。。。(^◇^;)

  • 少額の株を所有していますが高齢者には響きます。メタプラネットの株価は上昇するでしょうか?

    • 24年から順調に上がっている銘柄ですが、
      もしお持ちなら今のうちに手仕舞いすることをお勧めします。
      他の保有株についても同様です。
      ここから2~3年は下げ相場が続きます。
      上値はまずないと考えていいです。

      唯一買いをすべき投資先は金です。
      最終的には3~4倍にはなります。
      ポジション整理をして、今のうちに資産を金にシフトしていくのがいいでしょう。

  • 図表で見ると良く分かります。ありがとうございました。今後の情報も楽しみにしております。

  • 6月、日本、ドイツ他でドルを外した国際債券の発行をしたと聞きました。経済産業省はいつのまにかアメリカ市場から離れて行くシステムを構築していると聞きました。ドル離れが見えてきました。
    また先端技術における国際取引に関する諸審査もアメリカは外され始めているようです。
    詳しくはわからないのですが、ドルを外した世界経済システムの再構築が始めたみたいですね。
    すでに日本はアメリカには輸出しないで、アメリカ以外のどこかの国と信頼ある商取引をし始めたんですね。

    • ・・・赤澤さんは、言われてるんでしょうね。「米国債買ってね。」って。で、だから石破さんは、小声で言ったんでしょうね、「舐められてたまるか!」って。
      邪推ですが、結構当たってるかも。( ̄▽ ̄)

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