コメ狂乱高騰を考える

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ゴールドも同じ道をたどるだろう

最近のコメ価格高騰についてお話をします。

ここまでの急激な上昇がどうして起きているのか。

これに明確に回答できる人がいないようです。

相場に携わっている人ならわかります。

商品価格の上昇とは大抵このようになるものです。

いったん価格上昇に火がつくと急速に上がっていきます。

原油や穀物、金属といった全ての商品チャートに現れている動きです。

ゴールドも最終的には狂乱的な値上がりを起こすでしょう。

図表1を見ると、コメ価格は2022年の夏から上がり始め、

現在まで留まることを知らない驚異的な上昇になっています。

2025年4月14日、農林水産大臣がコメの生産者、流通業者、小売業者を集めて懇談会を開きました。

その席で、「どうしてこうした急激な価格上昇が起きるのか」、

「どのようにすれば、価格上昇にストップをかけ、価格下落に導くことができるのか」

といった議論を行いました。

しかし、出席者の誰からも、価格上昇する理由についての説得力のある説明がありませんでした。

価格上昇の理由が説明できないとなれば、価格下落に導く方策をひねり出すことはできません。

この会議は成果のないものに終わったということです。

価格は常に需給で決まります。

米価格が上がるには、一般的には

➊皆のコメを食べる量が増えた(需要増)

❷生産量が減った(供給減)

のどちらかが生じなければならないはずです。

「日本人が急に米をいっぱい食べ始めた」という話は聞いたことがありません。

どちらかといえば、こうした価格上昇を受けて、米飯の回数を減らす人が多いでしょう。

生産量については、2024年産は679万トンと、前年比2.7%増でした。

また、政府の備蓄米放出があり、加えて、31万トン(4.6%増)の供給増となっています。

つまり、需要と供給の双方に価格上昇が起きる理由が見当たらないのです。

したがって、急激に価格上昇する現状を説明できる人がいないわけです。

ではどうして、このような価格上昇が生じてしまったのか。

その理由は、消費者がコメ価格の先高を予想し始めたためです。

具体的に言うと、「今日買わないと明日はもっと値段が上がってしまうだろう。

だから早めに買っておこう」という心理から米価格が上がっているのです。

同じことは、食品全般に言えます。

図表2を見ると、米価格ほどではないですが、食品価格も大きく上がっています。

物価全般に上がり方に比べて上昇率が高いことがわかります。

食べるものを減らすことはできないので、価格上昇懸念があると人々が買い急ぐのです。

食品そのものは余りあるほどスーパーや小売店に並んでいるのですが、

こうした先高観が価格上昇を起こしてしまいます。

食品会社の値上げを容認してしまうのです。

全く同じことが、今後、ゴールド価格にも起きるようになるでしょう。

「ゴールドが上がる」と皆が思うようになれば、

我先へとゴールドを買い急ぐ人が出てきます。

そのため、価格は驚異的な上昇に繋がっていくでしょう。

今回のコメ騒動を見ることで、将来のゴールド価格上昇の様子が感じられるのではないでしょうか?

コメント

コメント一覧 (4件)

  • なるほど、納得です!
    ゴールドを買い増しして、現在下落中にてマイナスになっていたので、タイムリーなお話で気持ちが和らぎました。
    先生のご説明は、不安を取り除いてくれ、握力が強まります。
    ありがとうございました(*^^*)

  •  今後も上がり続けると思います。状況次第でさらなる急騰も!?
    理由は、①コメの供給が減り続けてきたため → それは、②国民が戦後パン等の小麦も多く食べるようになった。③このため、コメが余り政府は減反政策をとった。④コメの単価が低く抑えられ米農家の米作への意欲減退につながった。⑤それから生産者の高齢化により廃業が増加している。 → ⑥そこへ昨今の金利上昇により農林中金の保有するCLO(=ローン担保証券)で兆単位の損を計上した。⑦その穴埋めのため米の価格を吊り上げる必要がある(これは私の想像です。高く売り抜けたい。諸物価の高騰だけでは説明が困難)。⑧政府が国民の主食の確保、安定供給への哲学を持っていない。⑨備蓄米を放出しても1年以内に買い戻すなら今後の価格上昇要因になる。⑩放出米のほとんどをJAが落札した。入札方式、つまり一番高い価格を提示した業者が落札した。⑪しかもその応札業者には様々な条件がつけられ、JAへと誘導された。⑫高い価格で競り落とした米を国民に安く赤字覚悟で売ろうとは思わないはず。⑬財務省は米の備蓄に対しコスト削減の観点から消極的。⑭詳しくは知りませんが、ミニマムアクセス米の輸入が義務化(?)されている。⑮その一方で米の輸出に補助があり国産の美味しい米は海外に輸出されている。消費税の還付も?⑰肥料、農薬、燃料費の多くは輸入で、円安によりコストはプッシュされている。
     箇条書きですが、以上私が考えていることです。間違っていたら指摘してください。

     ここへ災害、有事、円の急落等が発生すれば最悪の事態となります。

  • 林先生のご説明は「簡にして要!」「単純明快!!」「一目瞭然!!!」
    こらゃ、ゴールドもアゲアゲですなぁ〜〜

    ・・・ゴールド買わなきゃ。。。(^_^)

  • 米騒動で被害者の一人です。
    先生の解説は私には分かりやすく、素直に受け入れています。
    この先はどんな講義されるか楽しみです。

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