安心してポジションを増やせる理由
金価格が下がっているため、「今後、どうなるのだろうか。どうしよう」といった不安な声が寄せられています。これについてお答えします。何ら心配することはありません。今後も今まで通り、金資産の拡大を続けてください。
NYダウ平均の下落に伴い、金価格も下落しています。具体的には、ダウ平均が天井から16%下がったのに対し、金(ドル建)は6%下落し、円建ては、7%下落しています。1%の違いは、円高によるものです。
最近の金相場のチャートを図表1に記しました。これは2024年からのチャートです。直近で金価格は下がっていますが、この1年数ヶ月に起きた下落に比べて決して大きなものではありません。質問者の中には、「金の暴落」という言葉を使っている方がいましたが、「暴落」に当たるような下げにはなっていないことがわかります。
図表1に2ヶ所の丸印(点線)をつけた箇所があります。今後も、この程度の価格下落や、停滞期は起きうると考えてください。金は銀行預金と違い、価格が上下するものですから、この程度の下げには心理的にも慣れておく必要があります。

本格的な下げ相場というのはどのようなものなのか。それを示したのが図表2です。図表2で丸印(点線)を記した箇所が、リーマン・ショック時の金価格下落です。この際は、金価格が3割下がりました。下落期間も8ヶ月と長かったです。景気後退の中で、宝飾需要が減少し、金の先行きに対する不安が広がったためです。

しかし、このチャートをよく見てみると、長期上昇の中での小さな下げのように見えるのではないでしょうか?私達がこれから経験するかもしれない金の下げ相場において、最悪の場合このような下げの可能性は残っていることを付け加えておきます
続いて、コロナ暴落の際の金価格を見てみましょう。こちらは図表3です。丸印(点線)をつけた箇所が、下落期間なのですが、ここでは1週間しか下落していません。株式暴落との連動はほとんどありませんでした。

金はこれからも下落する時期があるでしょうが、上で示したどちらのパターンになるのかはわかりません。そのような理由から、金の買いについては、適当な期間をおいて、少しずつ買っていくことをおすすめしているわけです。
ところで、金相場にとって、株式市況の暴落・景気減退以上に怖いものがあります。それが図表4です。

金価格は、他の商品市場と同じように需給で決まりますから、供給が増えすぎた場合、価格が下がってしまうのです。丸印(点線)は、価格が4割超も下がり、その期間も9年間に渡りました。
このようなことが起きれば、私達は大変な痛手をこうむってしまうことになります。しかし、このようなことが起きる可能性は低いです。
その理由は、鉱山会社が先物の売りポジションをかなり絞っているからです。(先物ポジションについては、投資部システム内で、ポジションのレベルを更新して表示しています。)鉱山会社は数年先までの世界の供給量を把握しており、彼らが売りポジションを増やしていないということは、「価格が今後も強含から、売り建てを増やしたくない」と考えていることを示しています。
つまり、鉱山会社のポジションを見る限り、大幅下落が起きる可能性は低いだろうと考えています。つまり、私達が心配するのは、「株式市場とともにどの程度連れ安するか」です。その幅はわかりませんが、過去の例を見る限り、大きな痛手を被ることはないであろうと思います。
それよりは、金価格は「これから4万円になる」というシナリオの方が実現性が高いと考えています。金投資については安心して向き合ってください。
コメント
コメント一覧 (10件)
林先生、タイムリーなお話をありがとうございます!
私は1540純金上場信託(通称:金の果実)を買い集めています。
先日高値更新したと思って喜んでいた金価格が、株の暴落とともに下がり心配していました。
「株が下がると、追証などで資金に困った方々が、利益を出ている金を換金して売るから下がる」とのうわさを聞き、確かにそういうこともあるだろうな、と思いましたが、それも一因でしょうか?
林先生が、「金を一気にではなく、少しずつ買いなさい」と言ったアドバイスが身に沁みました。
しかし、どういう間隔、金額で分散して買えばいいのかは、難しいです。
50日移動平均線を下回る場所で買うのは、「お得な買い場」なんじゃないかと思って、今日13120円で100株買ってみました・・・
当面は13000円前後がお買い得と思っていますが、皆様はいかがでしょうか?
私は本日ゴ-ルド価格がいつもよりかなり安くなっていたので喜んで購入しました。最近はゴ-ルド価格が大きく下がるのを期待し待ち過ぎてしまい失敗続きでした。早め早めに購入するようにしております。もっと価格が安くなって欲しい気持ちをグッと抑えて。バ-ゲンセ-ルを待つ作戦は愚策と思います。
追伸
私はゴ-ルドは価格が安くなった時こそ「勇気」が大切だと思います。決して慌てて売っては絶対ダメです。購入あるのみ!行動力が必要です!!
最近のトランプ相場のジェットコースターのような展開に、金の下降もショックでしたが、先生のコメントで安心しました。
戦略は粛々と続行あるのみ!❢
私も最高値で購入してしまいました。今購入して多少なりとも手持ち分の購入金額を下げようと思っています。
対数表示で株価や金価格のチャートを作る場合、どのように作ればいいのでしょか?自分でチャートを作り投資力をつけようと思いました。
なぜ、
NYダウ平均の下落に伴い、金価格も下落するのでしょうか?
この理由を知りたいです。
よろしくお願いします。
Missy様
ゴ-ルドの需要の50%くらいは宝飾品の需要です。株式市場が暴落すれば、将来的には景気が悪化して贅沢品である宝飾品の需要が減少してゴ-ルド価格の下落を予測する機関投資家が大量に先物市場にて売却をするからだという話を伺いました。
また、株式会社の下落で損失を被った機関投資がその損失穴埋めのためにゴ-ルドを売却するという話も伺います。
私は、市場価格は人間の心理がつくり出すものなのでハッキリした理由は誰にもわからないと思いますよ。
また、NYダウが暴落したITバブル崩壊のときは逆にゴ-ルドは上昇しております。
1929年の世界大恐慌の時は、ゴ-ルは、暴落せずに世界各国で独自の価格を保ち、米国では20ドルから35ドルにに上昇して固定相場となったようです。
いずれにせよ株式市場が暴落してもゴ-ルド価格の下落は一時的であり時間ととも回復して上昇したようです。
ライオン様
ご丁寧なご説明、ありがとうございます!
宝飾品需要や機関投資家の動きなど、金価格の変動に影響する要因についてとてもよくわかりました。
また、過去の事例や「市場は人の心理がつくるもの」というお話も納得感がありました。
Missy様
ご返信頂きまして誠にありがとうございました。少しでもMissy様のお役に立てて、とても嬉しいです。これからの厳しい時代を一緒に力を合わせて共にがんばっていきましょう。