トランプ国家経済緊急事態宣言の深層

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金融取引の停止を狙っている

 トランプ米大統領は、一律関税の設定や引き上げを行なうために、国家経済緊急事態宣言の発令を検討していると言われています。今日はこの深層について解説します。

トランプが行使したいのは、「国際緊急経済権限法(IEEPA)」の実施です。同法は国家の非常時に輸入を一方的に管理する権限を大統領に与えるものです。

この法律の前提になっているのは、「米国の安全保障や経済に対する大きな脅威が発生し、かつ、それが海外発である」という場合です。大統領は独断で決定ができ、議会へは事後報告することになります。

つまり、「現在は国家経済緊急事態にあたる」と宣言することになるわけです。

トランプの本音はここにはないでしょう。関税の引き上げ程度ならば、この法律なしでも行うことができるからです。ぼくの解釈は、「この法律を執行中の状態にさせておくことで、より大きな非常事態に対処するためだ」というものです。

より大きな非常事態とは何か?来る暴落時に、米国債券の暴落、ドル売り(ドル暴落)を避ける(軽減する)ための政策を緊急に発令するためではないかという考えです。

具体的に検討されている(と考えられている)のは、ゴールドと米国債券に関する所有権に関する制限です。

  • 民間銀行に預けられているゴールドの所有権を米国に移します。没収ではなく、米国は対価を払うでしょうが、もちろん、自国に有利なレートになるでしょう。
  • 海外所有者に対して米国債券の売却を禁止します。名義変更も停止します。クーポンや償還の際の元本は受け取れるでしょうが、債券価値が激減する上に売ることもできないので、米国債券のすべての所有者が大きな損失を抱える可能性があります。

ある投資物件が売れないとしたら、経済環境やそれ以外の条件(クーポンや配当)が全く同じでも価値は大幅に下がることになります。

これらの政策はIEEPAの執行下のみで実現可能です。こうした非常事態への対処を着々と図っていくとぼくは考えています。

コメント

コメント一覧 (26件)

  • 私も、米国債の暴落を阻止するための、売却を停止させる措置と思います。
    特に、中国を念頭に置いたものではないでしょうか!

    • 売却の停止は当然中国を念頭に置いたものだと思います。
      中国もある程度の損失を負担することはやむを得ないと
      腹をくくっているでしょう。
      しかし、その一方で中国はゴールドを買い集めており、
      これによりリスクヘッジを行っている模様です。

  • >民間銀行に預けられているゴールドの所有権を米国に移します。

    これは、どのような目的で行うのでしょうか?

    >ある投資物件が売れないとしたら、経済環境やそれ以外の条件(クーポンや配当)が全く同じでも価値は大幅に下がることになります。

    これは米国債券のことであってゴールドのことではないと思っているのですが、
    合ってますか?

    • 米国債権の、所有権、移転の禁止や売却の禁止が行われます。
      ゴールドについては、米国々内に預けているものを、
      政府の所有権に移すことになります。
      したがって、米国でゴールドを所有している人は、
      安い価格で政府に取り上げられることになるでしょう。

  •  日本のゴールドはどのようになると考えられますか? いきなり資産没収とはならないように思うのですが?

    • 日本ではゴールドの没収は行われないと思います。
      その理由は、あまりに手間がかかるからです。
      銀行預金からある一定の割合で、資産税を取り上げる場合は、
      コンピューターの操作1つで行うことができますが、
      ゴールドの没収には誰が持っているのか持っていないのかを、
      いちいち確認しなければならないからです。
      大暴落の際にこうしたことに時間を費やす余裕はないのではないか、というのが僕の考え方です。

        • おっしゃる通りだと思います。
          純金積立を没収すること日本政府なら難しくはないと思います。アメリカ大統領令が発令されたら現物で引き出しておいた方が賢明でしょう。ゴ-ルドの現物を小さなサイズ分割して上手く隠してしまえば誰にも分からないないので没収のリスクはかなり低いでしょう。

  • 中国などが米国債を全て売り始めると、ドルの価値を少しでも留めるため、アイゼンハウアー大統領のように、西側諸国の金を収奪して、金本位制にするしか方法がないかも知れませんね。

    トランプ大統領当選後、習近平国家主席は「アメリカに協力する用意がある」と言ってましたが、条件にもよるでしょうが、金のお取り上げなど、酷いことにならない事を祈ります。

    • 米国のみならず、世界のいくつかの国で金の没収が起きることは、
      考えられる事態です。
      しかし、そうした事態が起きた場合は金価格が大幅に上昇します。
      これは私たち金投資家にとって、とてもいいチャンスになるであろうと思います。

  • 日本も同じような法律が出来ているようですが、同じような理由なんですかね。

    • インターネットやスマートフォンの普及により、
      政府は私たちの生活をますます詳細に管理できるように
      なっています。
      そのため、非常事態においては、
      できるだけ多くの国民から資産を
      巻き上げることを計画していると考えられます。

  • トランプ大統領は就任と同時に大量の大統領令を発しています。
    そのスピードと量の多さに圧倒されています。

    これらの政策には以前から予測されていたものと「ビジネス上の交渉の手段」として挙げられているものもあって、どんな影響があるか見極めが重要になると考えていました。

    今回の「気づき」で取り上げられた「国際緊急経済権限法(IEEPA)発令の深層」は私達に
    関連が深い大統領令です。米国の莫大な債務問題の解決策として今後どんな展開になるのか
    目が離せません。
    こうした政策の持つ「意味」と「深度」について、今後とも「気づき」で取り上げていただけるとありがたです。よろしくお願いいたします。

    • トランプの大統領令は、量が多いばかりでなく、その内容も多岐にわたっています。
      皆様にできるだけ貴重な情報をお届けできるように日々分析を重ねています。

  • 中国が保有する米国債売りによる米国債の暴落防止を想定した制度の悪用のように感じます。

    • 中国の米国債売却禁止を最も重視していると思いますが、
      多額の米国債を抱えている日本も売却できなくなってしまいます。
      私たち日本人にとっても、辛いことになりそうです。

  • ゴールドと米国債券に関する所有権に関する制限については目からうろこでした。
    ということは、ゴールドのETF(SPDR)やそのオプションを保持している場合なんかも大きな影響を受けるということでしょうか?

    • ゴールドのETF(SPDR)が保有する金も、その所有権が米国政府に移されてしまう可能性はあります。
      その場合は、このETFは売買が停止となってしまうでしょう。
      米国政府が買い取りを行う場合の価格は、市場価格よりはかなり低いものになるでしょうから
      SPDRの最終決済価格はそれまでの価格に比べて、かなり低いものになる可能性はあります。
      これらは、ただの可能性であって、それが実現するかどうかは分かりません。
      しかし、こうした可能性のある米国のETFを持つことはリスク以外の何物でもないと思ってください。

  • ゴールドが動くその時、売買をするチャンスはあるでしょうか?動きが早くてついていけない状況でしょうか? 初めてのことなのでよく分からないのでお聞きします。

  • 来る暴落時の米国債券の暴落やドル売り(ドル暴落)に賢く対応するというお話に感銘いたしました。昨年6月頃に米国既発債券を残存期間と種類で3種類購入しておりました。投資部会員となって、学んでいくうちにこれは、勇み足であった!と反省仕切りです。残存期間が期日は短いもので1年半、長いもので4年間ほどあります。損切りを覚悟で売却し、得た資金でGold購入としたほうが良いのでしょうか?損切りのタイミングをいついすべきか迷っております。よろしくお願いいたしします。

    • 残存期間が4年間あるものは、その間に米国債の破綻があり得るかもしれませんから
      僕でしたら損切りをしてゴールドにのりかえます。
      1年半のものについてはおそらく米国債の破綻はないであろうと考えて継続することも可能です。
      その場合、一年半後に価格は100になって戻ってきます。(為替リスクは別です)
      ただし、債券の保有を継続するよりはゴールドのほうが利回りが大きいのではないかなと思っています。

  • ゴールドが動くその時、売買をするチャンスはあるでしょうか?動きが早くてついていけない状況でしょうか? 初めてのことなのでよく分からないのでお聞きします。

    同感です。
    ゴールドは一部を現物保有しています。
    高騰時(ジャンプ期)のよいタイミングで現物の売却が難しくなることはありませんでしょうか?
    ゴールド売買制限などが発令され、闇市で売るにしても、うまく売却できるのか少し心配です。
    以上を踏まえ、自分は現物、純金積み立て、ETF、投資信託の4つでゴールドを保有しています。
    (今からの購入となると、税制面では、現物は5年以上の長期保有前の売却となりそうなので、ETF、投資信託が圧倒的に有利になる気がしています。)

    • ゴールドの売却についてですが、売却時に売りが困難になることはあまりないであろうと考えています。
      一般的に投資物件は底値の時と高値の時では出来高が100倍以上違います。
      価格が上がると、皆が欲しくなって、出来高が大幅に上がるものです。
      ゴールドの売買制限が政府によって行われることがないとは言えません。
      その場合、おおっぴらには売買できないでしょうが、必ず抜け道があるはずです。
      海外(中国・インド)では売却できます。
      また、売買制限が発令されるような事態となれば、金価格は大幅に上昇することになるでしょう。
      その理由は、売買制限は、非常事態だということの裏返しだからです。

  • 既発債の売買についてのアドバイス、有難うございました。為替も160円/$のときに購入しておりました。現在は円高進行(本日155.30円/$)のようですので早速、残存期間の短い債券は残し、他は売却していきたいと思います。

    • 自分の投資方針がしっかりと決まって良かったですね。
      投資で最も悪いことは、何も考えずにただずるずると時間だけが過ぎ、不安が募っていくことです。

  • 以前、先物取引で金を購入しようとしても高かったので、動きが似ているけど金よりやや遅れて動くからとプラチナを購入したことがありますが、株価暴落時に上昇するのは金本位制のベースになる金のみなのでしょうか。それとも他の金属にも影響を与えるのでしょうか?

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