日本の物づくりの衰退が明確

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今日の気づき

~船井電機の破産が象徴的~

船井電機が10月24日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けました。
負債総額は2024年3月期末で約461億円とみられています。

若い方は船井電機を知らないかもしれません。
21世紀初頭では一世を風靡(ふうび)した企業だったといえる存在です。
当社の破産は日本のモノづくりが岐路に立っていることを示しています。

今日は船井電機の往時を振り返ります。

船井電機が時代の寵児(ちょうじ)となったのは
低価格家電に強いからで、米国で高いシェアを勝ち取っていたのです。
2000年代初めには連結売上高3000億円超を誇っていました。
当時の主力商品は、何の変哲もないVTRやプリンターでした。
商品が独創的であるわけでも、ブランド力が高いわけでもありませんでした。
にもかかわらず、米国市場ではシェアトップだったのです。

その理由は 価格が断然安いことでした。
1円単位の小さな無駄を社内の全部門から
徹底して取り除く方法で低価格を実現させました。

日本では松下、シャープ、東芝、三洋といった
ブランド製品が幅を利かせており、
船井電機は2流メーカーとしての地位に甘んじていました。
しかし、米国になると全く話が違っていました。

その理由は何か?
米国では日本国内と違い、会社名よりも

「MADE IN JAPAN」という日本製であること自体がブランドになっていたからです。

具体的に言うと、VTRの市場シェアは、
自社ブランドとOEM(相手先ブランドによる生産)の合計で34%と首位で、
VTR一体型テレビ(テレビデオ)のシェアは52%で同じく首位でした。
全量をOEM供給しているインクジェットプリンターは、シェア20%で第2位でした。

図表1 明らかなように、株価は2001年~05年において、
日本の主力家電メーカー、パナソニック(当時の社名:松下)に比べて
大幅にアウトパフォーマンスをしていました。
それが赤いシャドーのある時期です。


しかし、その後、中国や韓国のメーカーとの価格競争激化で売り上げが低迷し始めました。
船井の没落期は2007年~09年で、株価が大幅に下落しています。
その後営業赤字が体質化し、本年の破産につながってしまいました。

「安い」という差別化しかない場合、日本は新興国に太刀打ちすることはできません。

今後は多くの製造業で同じことが起きてくるでしょう。

株式投資家は、一般的に、製造業よりサービス業に重点を置く時代となってきました。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 現在私は上海に駐在しておりますが、全ての分野ではないですが、一部自動車部品では圧倒的に負け始めております。
    例えば自動車のある
    軸受は、2010年に中国自動車メーカーの中国軸受メーカーのシェアは10%、それが今は90%になったと中国軸受メーカーの方から聞きました。
    圧倒的なコスト(イメージ3−4割安)でコストは品質に勝ると言わんばかりに日本を含む外資系シェアを奪っている感じです。これから日本の牙城であるタイやインドネシアなどで同じ現象が起きると思います。最初はブランド、自動車の壊れにくさ、売った時のリセールバリューを考えるとやはり日本車だよねと戻ってくると思っていましたが、これからはスマフォみたいな感覚で買われていくのかもしれません。トヨタは水素燃料でエンジン使う車を開発しております。今まで膨大な開発工数と費用を掛けた技術の結晶であるエンジン(中国メーカーに技術はない)を捨てずに水素でゲームチェンジをして欲しいと思います。*これはあくまで私が聞いた話とイメージになりますので、数値などは話半分で聞いてください。確実な情報は大手銀行がレポートを発行しておりますので、プロの情報を参考にw

    • 貴重な情報をありがとうございます。
      こうした生の声は現場にいる人でないと掴むことができません。
      また、機会があればこの続報をぜひ投稿してください。

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