鉄道不足を補うオートバイ
今日はぼくの住むタイのバンコクから、皆さんに興味深いお話をいたしましょう。オートバイの話です。図表1(写真)を見てください。非常に数多くのオートバイが走っていることがわかるでしょう。これがごく日常の風景です。

オートバイは縦横無尽に走ります。手前の信号が赤になると、車は止まらざるをませんが、オートバイは車両と車両の間を縫うようにすり抜けて進み、最終的には信号機のあたりはオートバイでいっぱいになります。
信号が青に変わると途端に山のような数のオートバイが一斉に飛び出していきます。カンボジアではオートバイの数がもっと多いです。まさに活力のある風景です。0
しかし、タイやカンボジアがこれから経済発展を続けていく中で、オートバイの使用はだんだん減っていくと僕は考えています。
図表2にあるように、日本の二輪車生産台数は1980年には約650万台ありました。現状では、70万台を割っています。つまり、生産台数が10分の1に落ちています。

タイでは都市近郊を結ぶ鉄道の発達が日本に比べて遅れています。東京23区ならば、駅から歩いて行けば大抵のところへ行くことができるのですが、バンコクではそうはいきません。駅から20分~30分歩かなければいけないことがよくあります。そこで、利用されるのが、オートバイだということです。
カンボジアでは首都プノンペン市内の交通網としての鉄道が全くありませんから、オートバイは必須の乗り物になります。
人命の安さはオートバイ普及の理由
オートバイは、歩行者にとっては、一つの大きな悩みの種となっています。それは、右折や左折をするオートバイが歩行者のことを考えてくれずに、ガンガン進んでくることです。日本のように歩行者を見て、オートバイが止まることはありません。道路では人ではなく、車優先なのです。
実はこの傾向は、タイよりも経済発展のやや遅れているカンボジアでなお顕著です。オートバイの割合がさらに多いだけでなく、「オートバイは信号無視しても構わない」という風潮になっています。つまり、赤信号でもどんどん走っていくのです。これは、日本の自転車にやや似ているかもしれません。自転車の場合、赤信号を無視して走っていく姿を見かけることがあるからです。
どうしてこのようなことが起きるのか。日本に比べてひとりあたりのGDPの低い国は、命の値段が安いです。言い方は悪いですが、1人の人命を奪った場合に支払う保険金額が日本に比べて相当低いわけです。だから人命が軽視されます。そこで、車優先社会が形成されているのではないでしょうか?
コメント
コメント一覧 (2件)
かつては日本でも、オートバイ事故が多かった気がします。自動車保険ができたり、警察の取り締まりが厳しくなったりするうちに、少しずつ交通マナーが守られるようになったと思います。一番大きいのは、車が買えるようになって、オートバイよりも快適で荷物も運べて、遠くまで家族や仲間と出かけられるようになったことがオートバイが廃れた原因でしょうか?
既に空飛ぶ車が出来たと聞いてますが、交通整理はどのようになるのか心配です。頭上から車が降ってくる!なんてことがなければ良いが…と不安です。ま、私はその頃は居ないでしょうから杞憂ですけどね。
渡辺さん
そのとおりです。
オートバイよりも4輪自動車の方が快適で便利だから普及し始めたというのは正しい指摘だと思います。
もう一つは、オートバイは渋滞に強いんです。
車だとなかなか進めないところをオートバイだとスイスイ行けることがあります。
バンコクのオートバイはかなり運転が荒いですよ。
本当に気をつけないと引かれてしまうくらいです。