全固体電池は有望なテーマ
日本政府が、来年度予算において、2255億円の補助金を全固体電池に対して拠出するという報道がありました。今日はこの話を通して、株式投資の銘柄の探し方についてお話します。
次の3つのステップで探していきます。
➊このテーマは「でかい」のか?
政府が補助金を出すのだから、「でかい」話のはずですが、自分でも確認しましょう。「でかい」話ならば、ネット検索で簡単に情報が出てきます。
具体的には、テーマをさらっと学んでおきます。
全固体電池とはどういうものなのか。
私達投資家は簡単な知識を持つ必要があります。
従来の電池は液体を用いていました。液体内では固体内と比べてイオンの移動が比較的に簡単だからです。皆さんも乾電池から、ぬるぬるとした液体が出てきたのを見かけた経験があるでしょう。しかし、液体には蒸発や液漏れ、発火、劣化といった問題がつきまとっていました。
これに対して、液体をやめて固体にすれば、こうした問題を解決することができます。その結果、高容量、高出力、高耐熱、高速充電、長寿命などが全て実現する可能性が出てきました。ただし、固体ではイオンの移動性が低いので、それを可能にする物質の発見、創造が課題だったわけです。
それが全固体電池です。全世界で実用化を急いでいます。中国は日本に比べて開発が進んでおり、数年先行していると言われています。
こうして、「これはでかい話だ」とわかったら、銘柄探索に進みます。
❷予算の恩恵を誰が受けるのか?
2255億円という金額は、政府の予算規模(来年度112兆円)からすると、0.2%の金額であり、大きな意味は持ちません。しかし、一般企業にとっては2255億円は大きな金額です。このギャップをしっかり認識してください。
全固体電池の開発には、トヨタをはじめ、TDK、マクセルなどが参画しています。
トヨタは売上46兆円、経常利益2兆円(2025年3月期予想)ですから、2255億円は大きな金額ではありません。TDKも売上2兆円、経常利益1840億円の企業です。
これに対して、マクセルは売上1280億円、経常利益98億円ですから、この企業に対して多額の補助金が拠出されるとなると、大きなインパクトがあることになります。ということは、このテーマで狙い目なのはマクセルということになります。
そこで、マクセルの開発進捗状況を調べていくことになります。ぼくがネットで調べた範囲では、マクセルの全固体電池の開発に関する寄与度が高いようには見受けられなかったです。そこで、本日現在ではマクセルの開発が進み、投資チャンスが訪れるのを待つことにします。
銘柄の探し方はこのようにやっていきます。
❸周辺事業も考えてみる
政府が全固体電池について補助金を出すということは、この産業を国全体として盛り立てていこうという意思の表れでもあります。それは市場の開拓やコストの更なる削減に対して、政府が何らかの手助けをするということを意味しているかもしれません。
もしかしたら、電池の開発の周辺でも、企業収益を大きく変えるような企業が出てくるかもしれません。こうしたことも頭に入れておく必要があります。
コメント
コメント一覧 (4件)
先生のおっしゃる、グローバルな捉え方なのですね。勉強になりました。ありがとうございました。
田崎さん
こんにちは
物事は何、何事につけても大きな観点から捉えるようにしましょう。
田崎さんもそうした見方が出てできるようになってきたのではないでしょうか?
点、線、面、立体、俯瞰
常にこんな意識で物事を捉える様にしたら良いのですかね〜
今まで、政府、補助、関連銘柄で、上がったり上がらなかったりするのが不思議でしたが、その事がどの程度街頭企業にインパクトを与えるのか、さらに、寄与度まで、調べないといけないのですね。表面的な動きに翻弄されてばかりきた意味が少しわかったような気がします。
有難うございます
小沼さん
補助金が株価に与える影響について、
少しずつ機会があるごとに解説していきますね。
多数の銘柄においていろいろな事例をお話しした方が分かりやすくなると思います。