2026年1月7日
長期ではマイナス要因
米国のベネズエラへの軍事侵攻が今後の株価に影響するのかについてお話しします。
軍事作戦そのものは株に大きな影響を与えるものではありません。その後の展開によってはマイナス要因として働くようになるでしょう。
戦争の原則
「戦争の開始や動乱の時代への突入は、投資には一切影響しない」というのが原則です。

図表1には第二次大戦後の主な戦争(勃発日)とその3か月後の株価の変化率を記しました。株価は米国のものを用いています。例えば、表の最初にある第一次中東戦争の勃発日から3か月後、米国の株価は4.1%下落したということです。
主な戦争は全部で11ありました。開戦3ヵ月後、株価が上昇したケースが6,下落したケースが5で、平均変化率はー1.0%でした。
これを見てわかることは、「戦争自体は株価には特定の影響はしない」ということです。
現状の株価にはどう影響するか
軍事侵攻は株価への影響を避け、クリスマスを避ける目的で3日(土)に実行されました。
当面はNY株価は順調に推移すると思われます。これは中央銀行がQEを再開したことが要因で、軍事作戦とは直接の関係はありません。ただし、石油関連株は大きく上がるでしょう。
株価上昇は景気の悪化につれて腰折れになっていくと思います。
米国大統領は、「ベネズエラの石油権益が手に入る」といった趣旨の発言をしていますが、そこに至る道は簡単ではありません。油田のメンテナンスが滞っており、石油産業の復活には相当の費用がかかります。
同国は長期的な超インフレが続いています。今ではやや落ち着いているものの、年間200~300%といったレベルです。数年前の数百万%からは脱しました。
この中で技術者や学者などの優秀な人材は国外に逃げてしまいました。残っているのは貧困層(生活に必要な最低限の食料やサービスを購入できない人たち)で、人口の7~8割に達しています。その中の半分は極貧層(食べものを満足に得られない人たち。1日1.9ドル以下の生活)です。
各所に石油産業の復興を進めるべく優秀な人材を供給することから始めなくてはなりません。
経済を順調に戻すだけでも大変なのに、米国はベネズエラ国民の反発をかわすことから始めなくてはなりません。私たちが自分の立場で考えればわかることです。「総理官邸に住む日本国総理大臣が誘拐されたら、その時の反感は壮絶なものになる」というのは容易に理解できるでしょう。仮に、その現役総理が史上最低の支持率だったとしても、誘拐の瞬間から史上最高の支持率に変わるでしょう。
一般に、先進国が第二次大戦後に植民地の運営を手放し、独立を促し始めたのは、運営コストが収入に合わないからでした。ソロバン勘定での判断です。
このように考えれば、ベネズエラ軍事侵攻は株価へのマイナス要因になることは明らかです。これは長期の話であり、当面は大きな影響が及ぶとは考えていません。



コメント
コメント一覧 (5件)
ありがとうございます。納得です。
何時も、自分の言葉は、安心と確信につながります。感謝です。ありがとうございました
・・・まぁ、短期的には”遠くの戦争は買い!”
と言うところでしょうか?
でも、世界は確実に壊れて行ってますね。日本も他人事ではないのですが、私は只老後を安穏に過ごしたい。だけなのですが・・・
(◞‸◟)
米国調査では、この度の軍事侵攻に対する支持と不支持が40%台の率が出てたとの報道です!
両率の中に、投資家の考えがどれだけ反映されてるのか分かりませんが、先生のおっしゃる長期的に考えると、米国企業による株価反映が日本企業にいつ現れるのか注視しても良いのではないかと、なんとなくてすが思っております!
⭐️トランプ氏は今週中にもホワイトハウスで石油会社の幹部と会談し、ベネズエラの石油産業をどのように立て直すかについて協議する見通しです。仮に米国の石油企業がベネズエラで大規模な掘削を進めることになれば、世界的な原油価格はさらに下押しされる可能性があります。
また、ベネズエラと米国の当局者は、これまで中国向けに輸出される予定で、海上のタンカーに滞留しているベネズエラ産原油について、仕向け先を米国へ変更する案を協議しているとされています。その数量は最大で5,000万バレルに達する可能性があります。現時点で、米国企業としてベネズエラで事業を行っているのは、石油大手シェブロンのみです。
原油の産地で油質が変わり、それに合った製油所の機能が必要だと最近知りました。ベネズエラの重質原油に合った製油所がどにあるかが問題だと思う。