2025年10月21日
働くのは「人のため」ではない
米国の政府機関のうち重要性が低いものが閉鎖になりました。私たち投資家もその影響を受けます。今日はこの実態を理解することで、役人仕事について語ることにします。
米国は予算不足から時々政府機関の閉鎖を行います。直近の3例を図表に示しました。

私たち投資家関連では、CFTC(Commodity Futures Trading Commission商品先物取引委員会)の機能のうち、統計管轄部門が閉鎖になります。
これに伴い、先物のポジションの公表(毎週)がストップになります。従って、
ゴールドにおける鉱山会社等のポジション
ゴールドにおける機関投資家のポジション
S&P500における機関投資家のポジション
の公表が行われなくなります。
皆さんにお役所仕事のひどさを紹介しましょう。
今回の閉鎖は10月1日からです。仮に、この閉鎖が11月1日までとします。この間5週間になります。
5週の間、データが更新されないことは明らかですが、それだけではありません。11月1日に政府機関が通常通りに動き始めたとして、データが完全に元通りに機能するにはさらに5週間が必要になるという話です。
どういうことか?
政府機関の活動が復旧すると、データの更新が始まりますが、5週間分のデータが即時に更新されるわけではありません。
最初の週には5週前のデータが更新されるとともに、4週前のデータが更新されます。2週間分しか更新されません。データは毎週蓄積されており、その中には最新データもあるはずですが、CFTCはそこには手をつけません。投資家にとって最重要の個所は後回しなのです。
翌週は3週前と2週前のデータを更新します。このようなペースで進み、元の形(火曜日時点のデータが3日後の金曜日に公表される方式)に戻るには5週間かかるということです。
ここに役所の本質が現れています。民間ではお客様第一が常識ですが、役所では役人優先となります。「公務員は人のために働く公僕だ」というのはまったくの理想論です。
こうした体質の人たちでは、これから起こる不況、株安、失業対策など危機に際して機動的な働きを期待することは無理でしょう。



コメント
コメント一覧 (9件)
> こうした体質の人たちでは、これから起こる不況、株安、失業対策など危機に際して機動的な働きを期待することは無理でしょう。
日本のお役所も、似たようなものですかね〜。
( ̄▽ ̄)
米国は、暴落しているとゆうことですか?
この間何を見て判断するのでしょうか?
今金の果実が急落してます。今売れば、50万ほど利確できますが、林先生は、待ち続けるのがよいとおっしやってました。アドバイスお願いします。
ありがとうございます。年内金の果実買い増しします。
最近では民間でもお客様第一ではなくなっています
でも、客の側も、カスハラしないように気をつけないといけないですね。
トランプ政権(というかその周辺のお金儲けする人たち)は今回の政府閉鎖も上手に利用してる気がする。
NECの人(日本のNECじゃなくてアメリカのNECです、電気機械会社じゃなくて経済の方)が、今週それが解除される(ように圧力かける)ということですものね。
関税の話も政治利用も。
普段私たちには伝わりにくい不安材料を知る事が出来て驚くとともに投資部に入って本当に良かったと改めて思いました。
ということは、恐慌が加速する情報を隠し、一時凌ぎですね。イーロンがなにか仕掛けますかな。なんだろ。
9月米雇用統計は政府機関の一部閉鎖からだが10月雇用統計は今週金曜日発表できるのか。
AIが答えます。
この件について、現時点では「Bureau of Labor Statistics(BLS)による10月分の雇用統計が今週金曜日に発表されるかどうかは かなり不透明 です。以下に理由を整理します。
✅ 発表が難しいと見られる理由
米国では、9月30日を期限とする連邦政府の歳出予算が成立せず、部分的な政府機関閉鎖(シャットダウン) が発生しています。
シャットダウンにより、BLSを含む多くの政府機関がデータ収集・公表を「停止」または「延期」しているとの報道があります。例えば、9月分の雇用統計(通常10月3日発表予定)が発表されなかったという指摘があります。
経済分析機関・研究機関も、「10月分の雇用統計はデータ収集ができていない可能性が高い。したがって今週金曜日(通常の発表日)に発表という形で出る見込みは低い」との見解を出しています。
⚠️ 発表の可能性が “ゼロ” ではない理由
ただし、報道によれば既に9月分のデータ収集自体は完了していた可能性もある、という指摘もあります。
もし収集済みであれば、発表できる体制へ回復次第、遅れて発表される可能性はあります。
私の結論
よって、10月分雇用統計が「今週金曜日に通常通り発表される」という期待は かなり低いと考えられます。
ただし「発表時期が遅れる」「発表されても中身にデータ欠落・補足説明あり」という可能性は大いにあるため、注意が必要です。
連邦議会上院がつなぎ予算案の採決を行っていますが否決されたままです。このまま政府閉鎖が続くと、影響は計り知れないと思われます。
特に、複数週・複数月にわたると、「公共サービスの断絶」「経済活動の鈍化」「契約・許認可滞留」「地方・企業への波及」「信用・予算リスクの増大」といったダメージが大きくなっていくでしょう。