金ダブル投資で失敗する落とし穴

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2025年9月30日

2倍の魅力に潜むリスク

本日は金ダブル(2036)についてお話していきます。

最近、金融市場では短期的な値動きを狙うレバレッジ型ETFが個人投資家にも広く知られるようになってきました。

「少しの上昇で大きく利益を狙える」という感覚が購買意欲を刺激します。しかし、その性質や仕組みを十分に理解していないと、思わぬ損失を招くことがあるので注意が必要です。

ダブルという名前は利益がダブルなのではない

金ダブル(2036)は金価格が1%上がると理論上2%上がる設計の商品ですが、これはあくまで「1日ごとの値動き」に対しての話です。

日々の変動を基準に倍率がかかるため、長期的に見た場合、単純に2倍のパフォーマンスが得られるわけではありません。

むしろ、相場が上下を繰り返す局面では、時間の経過とともに基準価格が大きく目減りしてしまうことすらあります。

具体例で見てみましょう。たとえば、金価格が100から300へと3倍に上昇したとします。

このとき、金ダブルは日々の値動きが2倍になるため、100から600まで増えます。一見すると、この段階では「やはりレバレッジ型の方が有利だ」と感じるかもしれません。

しかし、その翌日に金価格が20%下落した場合、金ダブルはその倍の40%下落となり、600から一気に360まで減ってしまいます。対して、通常の金価格を反映するETF(例:1540)は300から20%下落で240残ります。

結果として、このケースでは金価格の240に対し金ダブルは360と1.5倍にはなったものの、理論上の「2倍」には届かず、期待はずれの結果となります。
つまり、
最初に大きく上がったとしても、たった一度の急落で想定よりも低い水準まで利益が削られる可能性があるのです。

下げ相場では損失が倍速で拡大する

下落相場では、1日の下落率がそのまま2倍に効いてくるため、損失スピードが極めて速くなります。特に数日間連続で下がる局面では、基準価格が大きく削られ、たとえ後日相場が反発しても元の水準まで戻らないケースが多発します。

例えば、金価格が5日間かけて毎日2%ずつ下落すると、通常のETFでは約9.6%の下落にとどまりますが、金ダブルでは約19%もの下落となります。さらに、その後に同じ割合で上昇しても、元の価格には届かず、損失が残るのです。

このように、下げ相場が続くと倍速で下がるだけでなく、回復が困難になるため、長期保有では致命的なダメージとなります。

たとえるなら、山を登るときに2倍のスピードで登れる靴を履いているようなものです。

道が平坦であれば短時間で頂上にたどり着けますが、急な下り坂に差し掛かれば、下る速度も2倍になってしまい、あっという間に谷底まで落ちてしまいます。

短期的な上昇を捉えるには優れた道具ですが、長期的な登山では危険性も同時に高まります。

そのため、数字上の倍率や短期の好成績に惑わされず、商品の設計意図とリスク特性を理解した上で用い、資産形成に役立ててください。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 金ダブルは、レバレッジがあるので、CFDと同じ目線で検討すべきですね。
    しかし、今週の金銀の上昇は凄まじいですね。主にCFDでポジション持ってますが、株並みのボラティリティでかつ下がる局面もなくドンドン上がっています。
    政府機関閉鎖の可能性が高まっていることが背景だと思うのですが、実際に閉鎖されたら
    噂で買い、事実で売る、ということになってしまいそうですね。

  • 商品名のダブルに惑わされ価格が下がる時の影響度は考えもしていませんでした。株式も同じようにダブルがついた銘柄も同じことですね。
    勉強になりました。

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