株価の過剰反応がわかる見本
今日は米国の航空貨物をめぐる話をします。
貨物収入が下がっているのに株価が上がっている現実についてです。

図表1に米国の貨物収入に関する指数を示しました。
1トンの航空貨物を1マイル運ぶ時の収入です。
この図表における見どころは、コロナ発生前後の動きです。コロナ発生後、この指数は大きく下がりましたが、コロナが沈静するにつれて指数は上昇に転じました。
しかし、指数は大きくは戻りませんでした。
コロナ発生前の最高値の水準には戻らなかったという意味です。半値戻し(下落幅の半分戻す)という言葉が証券用語にありますが、このレベルの戻しにもなりませんでした。

これに対して、図表2はフェデラルエクスプレスの株価です。
同社は米国を中心とした世界最大手の航空貨物取扱業者です。当然ながら、図表1と2のチャートの形はよく似ています。
株価を見ると、コロナ発生後に大きな下落を経験しましたが、沈静するにつれて株価は大きく戻しました。コロナ前の最高値を抜くことはありませんでしたが、それに近い水準にまで回復した時期がありました。
ここからわかることは何か?
同社の株が経済の実態以上に買われたということです。理由は、膨れ上がったマネーにより、株価が大きく上がったからです。これはすべての業界に言える現象です。簡単に言えば、NYダウ平均(または日経平均)が上がり過ぎています。
コロナ前のNYダウ高値が3万ドルなのに対し、2024年の最高値が4何ドル以上ですから、1万ドルの上昇幅は、多くの株式にとってバブルということになります。
経済を正確に反映していれば、米国貨物指数のように、多くの企業の株価はコロナ前の水準を回復しなかったでしょう。株価暴落が始まれば、このようなプレミアムはすぐにはげ落ちてしまいます。
別の言い方をするならば、これから生じる株価下落は前回(リーマンショックの際の株価6割下落)や前々回(ITバブル崩壊の5割下落)よりも大きなものになるのは必然でしょう。
コメント
コメント一覧 (7件)
お世話になっております。
経済の勉強は とても苦手です。
しかし、先生がグラフを見ながら説明して下さるから
とてもわかり易いです。
収入の実態とそぐわない株価、マネーがふくらむとは、なにがそうさせるのでしょうか?バブルがふくらむのは、経済に悪魔が住んでいるようです。
業績が戻っていないのに、株価は順調に上げているのはこれいかに?
そのこころは、膨れ上がったマネーに押し上げられたから。というわけですか。( ̄▽ ̄)
それにしても、
> 株価下落は前回や前々回よりも大きなものになるのは必然でしょう。
と仰る林先生のなんと恐ろしくも楽しみな予言でしょうか。(^◇^;)
バブルはまだまだ続きそうな気配がしますね…。
金余り、金余りといいますが、私のところにもその余ったお金来てほしいですね…。
今回のバブルは「半導体バブル」でしようか?何がキッカケでいつから暴落が始まるのか、怖いような楽しみなような!
皆さんが理解出来る事が今一ぴんと来ないので困ります。
バブル崩壊までに、空売りを理解したいですが、間に合うか心配です。