2025年8月12日
投資部のお客様から、「投資詐欺に悩まされている」という相談を受けました。
被害者の方の苦悩が日々深くなっていく様子がわかります。
▼事件のあらまし
2025年1月29日、投資アドバイザーを名乗る藤原敬之の勧誘で「AI戦略投資計画」へ出資し、
国内で個人投資を行っていた男性が深刻な被害を訴えている。
男性はSNSを通じて藤原氏を紹介され、
「週2回、急騰銘柄を教える」との誘いに乗り、
自身の口座で取引を始めたが、結果的に損失を出したという。
藤原氏は「損失分は責任を持つ」と約束し、
新たに「AI戦略投資計画」への参加を持ちかけてきた。
同計画は「機関投資家が常に利益を上げる仕組みを個人にも提供する」と謳い、
藤原氏が50億円を拠出して機関投資口を確保し、
AIによる銘柄予測と機関口を活用することで
「市場開始前の取引指示で必ず利益が出る」と説明された。
男性に実際の取引先として示されたのは「Russell Investment」だったが、
このウェブサイトは正規の米大手資産運用会社ラッセル・インベストメントとは無関係の可能性が高かった。
ラッセル・インベストメントは米国に本社を置き、
年金基金や機関投資家向けに運用助言やファンド運用を行う大手だが、
通常は、一般個人向けにSNSで直接勧誘することはなく、
さらにこのURLには正式名称にはない「llc」という表記があった。
男性は1500万円を振り込んだ。
この際、「4月15日まで出金できない」と告げられたうえ、
機密保持を理由に「途中で抜け出すには多額の資金が必要」と脅され、
「機密を漏らせばペナルティがある」とも言われた。
「私は本来、投資のための資金を増やしたかっただけ。
最初は損失分を取り戻すつもりだったが、途中から抜けられない雰囲気になってしまった」
と男性は力なく語った。
出金停止が続く中、「本当に4月15日以降に全額が戻るのか不安で仕方ない」と語った。
男性は藤原氏について詐欺疑惑の記事をグループチャットに投稿したが、
それ以降、他の参加者から一切反応がなく「沈黙に不安を感じる」と話した。
「全額返金を求め、それがだめなら警察に通報する」と考えているが、
詐欺グループは警察に連絡しても「痛くも痒くもないのでは」と危惧しているという。
男性は全額出金を求めたが、1円の返金もなかった。
むしろ、「4月15日までは契約上、取引を続けろ」と脅されているという。
警察への相談も「確証がないからできない」と思い込み、事態は進展していない状況だ。
そして、契約の最終日15日が過ぎ、4月16日となった。
当初の元本1,500万円が4倍に増えたと告げられたが、
「利益確定には所得税の支払いが必要」と求められた。
しかし男性は「金融商品取引業者なら税は口座内で自動的に税金処理されるはずだ」として支払いを拒否している。
藤原氏は、政府が金融改革の一環として「50%の補助金」を投入していると強調し、
「IPO投資が個人資産を増やす絶好の機会」と文書で熱弁を振るった。
男性は「抜けようとしても抜けられず、孤立感が強まっている」と話し、警察への相談を検討している。
男性は数年前にも森永卓郎(経済評論家)を名乗る人物による投資詐欺で1,000万円を失った経験があり、
今回が2度目だという。前回は、警察に相談したものの「忙しい」と取り合ってもらえず、
刑事事件化には至らなかった。
「加害者側は複数の口座を使い分け、凍結を恐れていないようだ」と男性は分析する。
詐欺グループの行動は続く。
藤原氏は新規上場予定だという「〇〇」という銘柄を
個人投資家から100万株単位で購入するよう勧めた。
男性は「証券会社に所属しない個人がIPOをこの規模で取り扱うことが可能なのか」と疑問を呈している。
また機関投資家口座の存在や優遇措置の実態、
米国市場でのプレマーケット参加についても不信感を抱いている。
「老後資金は残り数百万円しかない」と語る男性は、
今後、金(ゴールド)や信用取引での資産運用を模索しているが、
「自己否定が続き、毎朝胃が痛い」と心境を明かしている。
そして4月21日には、男性が先に投資した1,500万円が「6倍に増えた」と説明を受けた。
数日前から金額がさらに上がっている。
ただし、出金には一律で700万円の取引コストが必要だと告げられたという。
「700万円で9,000万円が手に入るのは魅力的に聞こえるが、
先に自分が振り込まないといけないと言われ、信じられない」と男性は語った。
これまで「現実と向き合うのが怖く、逃げてきた」と告白した。
しかし心の内では「妻に言えば離縁されるだろうし、親戚に知られれば縁を切られる」と孤立感を深めており、
「もう極限に来ている」と漏らし、精神的に追い詰められている状況だという。
睡眠薬がないと眠れない心境だと語った。
▼林則行が行ったアドバイス
ぼくはこの男性に対して、「すぐに警察に連絡するように」とお話してきました。
男性が数年前(1回目)に詐欺に遭ってから、時間が経過しており、警察の対応も変化してきています。
投資詐欺が社会問題化しており、振り込め詐欺と同様に、この種の問題に対して敏感になっています。
実際、投資詐欺に遭った人と関係があったという理由で、当該の投資詐欺業者のみならず、
その人に助言をしていた全く別の投資顧問業者までもが詐欺の疑いをかけられ、
警察によって口座が凍結される事態が発生しています。
警察が本腰になってきたことがわかります。
結局、この男性はアドバイスには従いませんでした。
理由は「もう疲れた」でした。
闘う気力がなくなってしまったのです。
お金がないことは老後に大きな不安です。
しかし、それ以上に持っていた財産を失ってしまったことが、この男性の不安や喪失感を高めてしまったようです。
家族にも相談できずに自分の殻の中に閉じこもってしまいました。
▼皆様へのアドバイス
➊投資詐欺は振り込め詐欺と同じです。
振り込まなければ、犯罪に巻き込まれません。
振り込んだら、お金はもう返ってこないと思って下さい。
相手方が何を言っても信じてはいけません。
事実だけを信じてください。
この事件の場合は、「1500万円が戻って来ない」です。
❷何かおかしいと思ったら、林則行まで即刻相談してください。即日対応します。
必要な場合は、サポートチーム内に担当者をつけて日々ご相談に応じます。
❸1度詐欺に巻き込まれると、その人物はマークされ、再度詐欺の標的になりやすいです。
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