長期ではダブルにならない
今日は日経ダブルインバース(コード番号1357)についてお話します。
「個別銘柄の空売りは、銘柄選択が難しい。できれば、株価平均を売りたい」
という理由から、日経ダブルインバースを好む人が多いです。
このファンドの名前のインバースとは「逆」という意味であり、ダブルは2倍という意味です。
従って、日経平均が1%下がったときに、2%上がる仕組みです。
日経インバースは、現在運用資産が1,015億円あり、
1日あたりの売買代金も151億円あります。
流動性という点で抜群です。
この銘柄には2つのリスクがあります。
➊短期的にはダブルインバースとなるが、長期的にはならない。
図表1にあるように、2025年に入ってから4月7日まで日経平均は19%下がりました。
これに対して日経インバースは36%上昇しました。

理論的には19%の2倍である38%上昇しなければいけないわけですが、
大体正しくダブルインバースの特性を表していると言えるでしょう。
ところが、長期ではそうでもありません。
図表2を見ると、日経平均とダブルインバースとは綺麗に相関しているように見えますが、
実際はリターンがダブルになっていません。

2020年初から2025年5月23日まで日経平均が57%上昇しました。
これに対して、ダブルインバースの下落率は87%にとどまっています。
これはどうしたことなのか。
それはダブルインバースという商品が、
「短期的にはダブルインバースになっても、長期的にはならない」
という特性があるからです。
図表3を見てみましょう。

1日目に日経平均が10%上がり、2日目に15%下がったとします。
これは掛け算をすると、資産全体が2日合計で6.5%下がることになります。
ダブルインバースが理論通りに動けば、このファンドは13%上昇しなければなりません。
ところが、1日目の下落率20%、2日目の上昇率30%を掛けると、
2日合計の上昇率は4.0%となってしまいます。
「長期的にはダブルのパフォーマンスを実現しない」という説明はファンドの運用者が公式に記しています。
❷野村投信が運用会社
もう一つのリスクは、野村投信が運用会社だということです。
野村証券が破綻した場合は、野村投信も同時に破綻する可能性が高いです。
図表4です。

この場合、日経ダブルインバースという商品について、
どこか別の運用主体を探して、運用を始めなければなりません。
そのためには数ヶ月という単位で時間がかかるでしょう。
その間は取引ができません。
場合によっては、次の移管先が見つからずに、
この銘柄が上場廃止になってしまう可能性もあります。
その場合、最悪価値がゼロになってしまいます。
こうしたことから、証券会社の破綻リスクが大きくなった場合は、この商品への投資を控えるべきだと考えます。
具体的には、日経平均が2万円を割って下落を始めたら、こうした商品からは手を引くのがいいでしょう。
リスクへの対応
投資にあたってはリスクに敏感になってください。
このファンドへの投資も他の空売りと同様に、リスクを資産全体の1.5%程度に抑えましょう。
資産全体が100万円の人は、リスクは1.5万円です。
5月23日現在、株価は11,725円です。
8%損切りをした場合、938円です。
つまり、1株当たり938円の損となるので、16株の場合の損失は15,008円ですから、
購入株数は16株が上限となります。
リスクをやや大きく取りたいという人でも資金全体の2%までにしましょう。
この場合は21株の購入が限度です。
コメント
コメント一覧 (2件)
日経ダブルインバースに関わらず
日経平均が2万円を割って下落してきたら
どの証券会社も破綻リスクが大きくなるということでしょうか?
すいません
問い合わせ先が判らず
こちらで失礼します
投資部への支払いが二重になってました
倍額ですね
お調べ下さい
藤澤一人