ヘッジファンド巨匠の視点

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米国ばかりが肥大化している

今日は、ヘッジファンドの巨匠、タリク・アフマッドの視点を紹介します。

タリク・アフマッドは新興国を主戦場とするヘッジファンドで高い成績をあげてきたレジェンドです。

ぼくはNYに赴き、彼と話す機会を得ることができました。

タリクは米国や世界各国の株式市場の成長に対して懐疑的です。

理由は「米国があまりに肥大化している」というものです。

別の言い方をすると、「一国に富が集中しすぎている」ということです。

図表1には、株式時価総額の大きい順に5か国を示しました。

これを見ると、米国は全世界のGDPの53.9%を占めています。

次に大きい中国は世界全体の4.4%の大きさに過ぎません。

その後の順位は日本、インド、イギリスと続き、それぞれ3%~2%台の大きさとなっています。

米国を除いた主要4か国の時価総額は世界全体の13.6%です。

ここまで米国に富が集中したのは、ごく近年になってからです。

図表2に米国市場の時価総額(対GDP比)を1971年から記しました。

これによれば、現状は史上最高になっています。

リーマンショック直後、米国の株価はGDPの50%にまで落ちていましたが、その後4倍に上昇し、

現在ではGDPの2倍(200%)超にまで肥大化しているのです。

この過程で米国の時価総額が、世界各国に対して突出してしまいました。

富の集中とは、別の言い方をすると、人気の集中となります。

つまり、バブルです。

人気は経済合理性を離れてうつろうものなので、いったん景気が下向きになれば、一気に人気が失われます。

これは大きな暴落につながっていきます。

タリク・アフマッドは、

「米国がない新興国だけという経済が存在するなら、新興国に超強気になることができるだろう」

という言い方をしました。

これは金融界で教養のある人の言い回しです。わかりやすく言い直す必要があります。

つまり、実際には、時価総額の過半を占める米国の経済や株価が全体の動きを支配しているので、

タリクは今後の世界の株式市場の成長には懐疑的な見方を取っているということになります。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 感想です。この様な情報は現実的なので聞いていてスーっと入ってきた感じがしました。
    ただ素人的には…
    ①アメリカは時価総額で全世界の半分程ですが、バブル崩壊後も相変わらず同様の立場にい続け、株価の復活を待つことになるのでしょうか?
    ②それともアメリカに追いつく経済規模の国は無いので、一旦BRICS等への投資になるのでしょうか?
    ③全世界経済の低迷が長期間続くと予想され、投資先がゴールドになっていき、その後はやはりアメリカ経済が復活すると期待して株への投資に切り替わり急騰することになるのでしょうか?
    …資産を守るためにはゴールドに切り替えることが必要になるのかと思いました。

  • 富の集中とはる、別の言い方をすると人気の集中になります。
    つまりバブルです。
    全世界の経済を見るとそんな実感しました。
    人気は経済合理性を離れてうつろうなものなので、一旦景気が下向きになれば一気に人気が失われます。

  • わたしの直感的感想ですが、バブルは、巨大ファンドや投資の巨匠らが造り出し、大儲けをするためのツールのようだと思いました。

    現在は米国一国が世界の富の半分以上が集中していますが、以前はそれほどではありませんが、日の沈まぬ国と言われ、植民支配をした大英帝国であり、大航海時代を支配したスペインやポルトガルでした。
    米国の次のステージはどこなのかとても関心があります。

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