ゴールドより儲かるのか
投資部にご参加の皆様の中で、「空売りによって資産拡大を図りたい」という希望が非常に多く見受けられます。今日はこのことについての解説をいたしましょう。
日々いただくご質問のかなりの多くを占めるのが、次のようなものです。
私はゴールドで資産形成をしていきたいと考えていますが、現時点での軍資金が足りません。そのため、まず、空売りで資産を拡大し、資金が十分なレベルになったら、ゴールドにシフトしていくという方法はどうでしょうか?
といったものです。今日はシミュレーションを加えながら、この考え方について解説します。
本題に入る前に、大事な前提からお話しします。空売りを行う場合、僕は資産の20%を上限とするようにお薦めしています。リスクがあるからです。
トレードが常に成功をすればいいのですが、失敗することもあります。失敗の場合は8%で損切りをします。空売りは、証拠金の約3倍の効果がありますから、損は資産の24%となります。つまり、資産が最初100あるとして、第1回目の取引で失敗をした場合は、24がなくなるということです。資産が76にまで減ってしまうということです
こうしたリスクを避けるためには、「証拠金は資産の2割以内に抑えることが望ましい」と僕は考えています。資産の2割が証拠金ならば、損失は24%に0.2を掛けた数値になります。つまり、4.8%です。1回目の取引で運悪く4.8%を損しても、95.2%が残っているので、立ち直りは難しくないと考えます。
さて、シミュレーションについてお話しましょう。
図表1です。投資前の資金が100あるとします。このうち2割を証拠金に用いますから、証拠金の金額は20です。空売りは3倍を行うことができますから、想定元本は20の3倍で60となります。リターンが20%という想定のもとでは、12の利益が出ます。これを元の資金100に達して、投資後の資金は112となります。

2回目の時の取引は112を投資前の資金として計算します。同じように計算していくと、投資後の資産は125となります。このように計算を積み重ねると、10回目には311となって資産が最初の3倍を超えることになります。
ここで、リターンの想定を30%としましょう。1回目の取引に入る前の資金、は100です。証拠金に向ける金額は20です。想定元本は3倍の60です。ここまでは全く同じです。
想定上のリターンが大きくなっていますから、利益の金額が異なってきて、18になります。これが投資前の資金100に加わるのですから、投資後の資産は118になります。2回目のトレードは、この118をもとにして行うことになります。同じように計算していくと、7回目には319となり、3倍を超えることになります。
なお、この方法では、「全ての資金を1銘柄に投入する」という前提です。実践上では、複数銘柄を同時に持つことになりますが、それではシミュレーションが上手くいきません。そのためにこのような単純な方法を採用しています。
このシミュレーションからわかることは、「リターン想定が20%の場合、10回の取引が必要だということであり、リターン想定が30%の場合、7回の取引が必要だ」ということです。
1回の取引に数ヶ月はかかるでしょう。空売りはデイトレードと違い、20%の利益をあげるには、株価が20%下がらなくてはなりません。売り始めた当日から株価が下がらずに、逆方向や横ばい圏に推移することがあります。数か月の投資期間を考えておく必要があります。
そうした前提のもとに7~10回を行うには、数年はかかるであろうと考えます。つまり、空売りを実行していく場合、資産を3倍にするには数年はかかると言えます。
なお、図表1のシミュレーションでは、「すべての取引に損失がなく成功する」という前提になっています。実際には損失のトレードが発生します。損失のトレードには利益トレードに比べて、早く確定することが多いですが、資産がへこみますから、そこからの回復には時間がかかります。
僕は皆さんに、「ゴールドに投資をした場合、数年で3倍にはなるだろう」という話をしています。ゴールドも空売りも同じ程度の時間がかかるのではないかということです。
「空売りは短期間に利益が出る。その幅も大きい」というのは正しい見方ですが、空売りにおいては、「証拠金を資金の2割に抑える」という制約を課すために、意外と時間がかかることになります。
「軍資金を増やす目的で空売りから始め、その後でゴールドに投資する」いうアイディアをお持ちの方はこのあたりを十分に考えて下さい。
コメント
コメント一覧 (16件)
空売りって、すぐにドカンと儲かる感じじゃないですね。欲張りなんでしょかね。笑
69歳近いので、あまり時間が残ってないので
1発当てたいのが本音でして、笑っちゃいました。
ラリーウィリアムスは1年間に、
資産をトレードだけで百倍にした
世界記録の保持者です。
この記録を詳細に見るとわかるのですが、
1回あたりの平均の資産の伸び率は1%以下なのです。
トレードでは、こうした小さな利益を積み重ねていって、
やがて大きな資産をつくることが、重要です。
「1発逆転」のようなことは、
投資の世界ではあまり有効な方法ではありません。
林先生
奥が深いです。
シュミする時、良い結果ばかりを考えてしまいますし、決してシナリオ通りに動いてくれないものですね、株価は。
先生が言われていたように、金を購入して、放ったらかし、が、リスクも含めて利益が残るのですね。
ただ、ゲームでは無いですが、トレに参加しないと興奮出来ない笑が、物足りない所です。
失敗続きで体得した事は、自分との戦い,ゴルフの様です。セルフコントロールが出来ない人は勝てないとわかっているのですが、守れない笑。後から大きく損切りをして、次回からはキチンとルール通りにしようと固く誓っても、トレに参加すると、目先の動きに翻弄されてしまい、自分を見失うの繰り返し。
2割8%、2割だと元金が少なく,信用が出来ないのでとなると、全額となり、スタート時から、アドバイスを活かせないので、
せめて8%ルールは肝に銘じます。
所で、この8%は、どのタイミングで判断するべきでしょうか?終値?途中一瞬でも8%を変えたら,損切りすべきなのでしょうか?
変動が大きいと、また,戻ってくるのではないかと期待しているうちに、損が大きくなったり、買い戻したら、下がりだしたりと、右往左往してしまう事が多くて、負けが続きます。
機械式投資法で、余裕資金が300万円というのは、自己資金が6000万円で、その20%である300万円が証拠金として使うということなのでしょうか?
かつて損切りのタイミング/基準が分からずに悔しい思いをしたことがあるのですが、林先生は8%に設定されていますね。損切りしようとしても希望価格では損切り出来なかったことがありましたが、機械式投資法ではどの様に損切りを適切に出来るのでしょうか?
機械的投資法(先物)では、損切り幅を約1.3%に設定しています。
先物には、資産全体の3割に抑えるのがリスクの観点から望ましいと考えています。
仮にご自身の資産が100万円の人は30万円まで証拠金として使うという考え方です。
ただし、先物では一度に数銘柄を取引する方が、収益の伸びが拡大できます。
一度に数銘柄を取引するためには、やはり証拠金が300万円程度ないと難しいのではないかと考えています。
その場合、自己資金は1000万円必要になるという考え方になります。
林先生
空売りの具体的なルールを教えてくださりありがとうございます。
損切り8%は肝に銘じます。
またリターンの20%は現実的に設定できる目標値なのでしょうか?30%と聞くとかなり株価が下がらないといけないと思うので、暴落時の落ち方にもよるとは思うのですが、底をつけるまでに空売りの取引回数が限られてしまいそうな感じがしました。7回から10回も今回の暴落時に取引出来るのでしょうか?
リターンの20%30%とか取引回数の7回から10回というのは
現実的な数字だと思います。ただ、これ以上に簡単な取引はゴールドにすることです。
ゴールドを買うだけだったらば、何もしないで寝ているだけで利益が増えるからです。
空売りの経験がありません。
空売りの講義をたのしみにしています。
空売りについては、とても質問が多いので、最近改革して、
今日の気づきの中で何回かに分けてお話を書いています。
これを読んだり、オンクラスの講義を聞いたりして、空売りに対するノウハウを深めてくださいね。
空売りについては、とても質問が多いので
最近の「今日の気づき」の中で何回かに分けてお話を書いています。
これを読んだり、オンクラスの講義を聞いたりして、空売りに対するノウハウを深めてください。
ご質問がありましたら、いつでも送ってください。
初投稿になります。世Sロしくお願いいたします。
なるほど、資産の20%ロスカットは8%以内、利益は20~30%ですか。
利益は状況を見てもう少し伸ばす、
それとも機械的に目標通りと判断した方がベストなのでしょうか?
おおよそ判断できますが自己流とプロの違いの見解を聞きたいです。
また、空売りはもっと勝負が早いと認識していますが、それ位見ておいた方が良いと
いう事ですか?
但し、信用の期限が6か月なので、それまでに決済が必要です。
ということは、空売りもある程度の時間軸、数年かかるということですね。
勿論、相場の下落局面又は個別銘柄の下落が続けばの話と受け止めます。
宜しくお願いいたします。<訂正>
私には、空売りはリスクも大きいし難しいので,
もっと勉強と経験を積んでからにしようと思っています。
今から株が暴落した後、具体的にどのような株に投資したらよいのか、しっかり学びたいです。
これからも、よろしくお願いいたします。
今回の先生のご説明を読みなおしているうちにだいぶわかってきました。今の情勢下、金をも上回る額を得るに1日限りを繰り返すのが一番ということなんですね。
ひとつ疑問が、小さな疑問が残りました。三ヶ長期売り注文をしておいても、毎日チェックして下落が止まったと判断したら手仕舞いするポイントて返済するという点では両者とも同じとすると、再注文の手数料分だけ短期の方がかかる一方で、長期なら動かないでいいが何日もあるでしょうし、機敏に動いた人には敵わないでしょうが、一年で倍くらいにはならないでしょうか?少しでも手間を減らし気持にも余裕が出るような気がしまして。やはり、長期だと油断しがちで大事なサインを見逃しやすいのと、借り株の金利高騰でかなり損をする可能性があるのでしょうか。
一番短期売買の最大の問題点は手数料です。これがバカにならないので、短期売買はからは遠ざかるほうがいいでしょう。