~「俺のものには手を出すな」とメッセージを発信する~
三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件の犯人が1月15日に逮捕されました。
この件については皆様から数多くの問い合わせを受けています。
「どうしたら被害に遭わないで済むのか」というのが問い合わせの中心です。
1.これまでも発生していた盗難
金融機関で2019年4月から2023年12月20日にかけ、
職員が貸金庫から顧客の現金などを着服する事案が計3件起きています。
うち1件は三菱UFJ銀行の行員の案件ですから、他にも2件発生していたことになります。
これは2023年12月18日の衆院財務金融委員会で金融庁が明らかにしたものです。
残りのうち1件はハナ信用組合(東京)で、男性職員が鍵を不正に複製して現金を窃取していたものです。
同信用組合が2023年2月に発表しています。
残り1件の詳細は不明です。
2.完全に防ぐなら米国方式
米国の貸金庫は、顧客用の鍵と銀行用の鍵が2つ揃わないと開錠することができないシステム
であることにはかわりません。
ただし、顧客用の鍵は顧客だけが持ち、銀行側はスペアキーを持たない場合があります。
すなわち、顧客が鍵をなくせばドリルで壊すしかありません。
(もちろん、金庫の修理費を請求されます。)
米国の一部の銀行がこうしたシステムを採用しているのは、
行員に対しての信頼が顧客側にも銀行側にも非常に低いからです。
日本ではこうしたシステムを採用している金融機関やノンバンクはないでしょう。
香港でもないと思います。
3.どのような対策があるのか?
完全な対策は米国方式しかないでしょう。
しかし、それに近い方法はあるとぼくは考えます。
皆さんのご自宅に窃盗が入る可能性はゼロではありません。
100%防ぐことはできないという意味です。
それでも皆さんは安心して暮らしているのではないでしょうか?
同じようなレベルでの対策をすればいいのです。
犯人側は「入りやすい家」と「入りにくい家」を見分け、後者を避けるようにしています。
例えば、二重鍵(二重窓)の家は一重鍵の家に比べて入りにくいです。
また、敷地内にザクザク音が響き渡る砂利を撒くのも有効です。
セコム(のような防犯ワッペン)を玄関に貼っておく人もいるでしょう。
これらの対策の本質は、「犯人さん、やるなら私の家は狙わないでください」というメッセージです。
犯人側はそれを受け、「やるなら他を狙おう」と考えます。
犯人にとってはリスクの最小化が最も重要だからです。
同じようなことが、貸金庫について言えます。
銀行側と顧客とで封印をする際に、ハンコを封筒のあちこち数十か所に押しましょう。
複数の違うハンコ、違う色の朱肉を含めればなお効果的です。
それを銀行員がいる前で写真を撮ります。
これは銀行内で話題になるでしょうから、
犯人は「この金庫は狙わないでおこう。他にもたくさん金庫はあるのだから」と考えるでしょう。
「家内安全」のお守りを金庫に入れておくのも安心料としていいかもしれません。
ぼくが思いつく対策はこのくらいです。
皆さんに名案がある場合は掲示板で会員一同に是非共有してください。
こういう件については、「三人寄れば文殊の知恵」です。
コメント
コメント一覧 (11件)
若い頃は銀行預金だけして安心してました。
ところが現在は激動の時代となり私も保管では毎日悩んでおります。林則行先生のおっしゃる通り100%安全な保管方法など存在しません。
となりますと保管場所と保管方法を分散してリスク分散をはかるしか思いつきません。私は、これから預金封鎖もあるかもしれない時代では日本円のcashもゴ-ルドも必ず「自分の手元」でいざという時にすぐに使えるようにしておく必要は絶対にあると感じております。インドやトルコの女性の方たちは身を守るためにゴ-ルドをいつでも身につけていることに倣います。
いかがでしょうか?皆様のご意見を伺えましたら幸いです。
あなたの優れているところは、自分の資産は自分で守るしかないという姿勢に徹していることです。
そうした姿勢が貫ける人は、一般の人に比べて
不運な金融取引に巻き込まれてしまう確率はかなり低いでしょう。
現在私は、銀行預金、純金積立、貸金庫、ゴ-ルド現物と日本円cashの「手元保管」をしております。
自分は、「定期的に金庫の中身は動画で記録している」という旨を手書きで紙に記し、貸金庫を開けて最初に見える位置に置きました。どれほど意味があるかはわかりませんが、一定の抑止にはなるかなと思っています。
今回の最大の問題は、銀行側が設置しているセキュリティカメラが正常に機能していなかったことです。犯罪を見抜くことができなかったという意味でもあります。
その点から私たちはできることを何でもしなくてはなりません。あなたのこうしたアイディアも、とても投資部の皆様に参考になるのではないかなと思います。
アメリカ映画やドラマでは倉庫などをかりてその真ん中に貴重品(金品やパスポート)をいれたカバンをポンとおいて非常時にその倉庫のカバンを持って逃亡~なんてしてますね。
また大きなカギのかかるボックスにダンベルのような重いものと貴重品を入れてレンタル倉庫に置いておくとかしているのをスパイ映画とかで見たことあります。参考までに:)
鍵のかかる貴重品箱を入れておくというのはいいアイデアかもしれません。
犯人はこうしたものには手を出しにくいでしょう。
犯人は、質屋に金塊を持ち込み、換金したと聞きました。
200万以上の通常の売買では、税務署に連絡があり、足がつくので、おかしいなと思ってました。
税金逃れにも活用できますかね!
金融危機の万が一の場合に、質屋の活用もあり得るのではないでしょうか?
質屋でゴールドを売ると、3割引きくらいになるのではないかと思います。
この場合、氏名や住所を問われない取引ができる場所があると聞いています。
ただし、これは200万円以上の場合は豪放な取引ではありません。
金融危機の場合に質屋を活用することもできます。
ただし、金融危機の時は金価格が大幅に上昇し、金を欲しいという人がわんさかと出てきますから、
売り手市場になるでしょう。どこからともなく、買いたいという人が現れるはずです。
ありがとうございました。
途上国では、闇両替の方が銀行より、レートが良いので、何回か利用したことがありました。
金にも、似たような業者が、出るのでしょうかね。
いつか、香港やタイの金地金の売買事情を教示していただければ、幸です。
香港のゴールド取引については、
オンクラスの講義の中で紹介していますので、
それをご覧になってください。
単位については、ゴールドに関しての持ち込み制限がありますので、おすすめできません。