~庶民が節約志向に走るのは当然~
今日は米国の物価高についてのお話をいたしましょう。
図表1にあるように、米国の小売売上高(実質)はマイナスの月が多くなっています。

つまり、米国の実質的な消費(インフレを除いた真の姿)が弱いことが示されています。
こうした状況が続けば、株価は天井を打つことになります。
米国ではダウ平均株価が4万ドルを超えています。景気がいいはずです。
にもかかわらず、どうして消費が弱いのか。
それは物価が高いからです。
ニューヨークの価格を具体的に示します。
ニューヨークでは、「ラーメンと餃子を注文するだけで、6000円かかる」と聞きました。
「本当にそうなのか」と思って調べてみたところ、「ありうる話だ」ということがわかりました。
ラーメン一杯が20ドル、餃子が10ドル程度です。すると、合計で30ドルです。
ここに飲食税8.875%と、チップ(15%~20%)を加えると
最終的な支払いは40ドルになることがあります。
40ドルは1ドル157円換算でいうと6280円です。
他の例も見てみましょう。図表2です。

ビッグマック(単体)はNYで785円、東京の480円に比べて1.6倍です。
フライドポテトとドリンクを含んだセットになると、価格差は2.9倍となってしまいます。
ユニクロのヒートテック(男性のTシャツ)は価格差が3.2倍、エアリズムが1.8倍です。
日本でダイソーが100円で売っている商品は、米国では1.99ドルで売っています。
これは310円ですから、日本の約3.1倍の価格です。
高価格帯の代表として、一流ホテルを比較してみましょう。
マンダリン・オリエンタル・ホテルを取り上げます。
このホテルは長期間世界最高と言われてきたバンコクのオリエンタルホテルを発祥としたもので、
今では全世界に展開しています。
バンコクでは、フォーシーズンの133,982円を抜いて、最も高いホテルなのですが、
ニューヨークのマンダリン・オリエンタルは、それをさらに1.3倍上回る価格になっています。
なお、バンコクのフォーシーズンもマンダリン・オリエンタルも世界ランキング・トップ50に入る名門ですが、
NYのマンダリン・オリエンタルはそうではありません。
にもかかわらず、価格は最上位にあるのです。
(これらのホテル価格は2025年2月1日~2日にかけて、1泊したという前提です。)
NYでは1月5日から渋滞税が導入されました。
都心に入って来る車に対して1日あたり9ドル(1400円)が徴収されます。
ここまで物価が上がると庶民は節約第一になってくるでしょう。
景気減速への方向性は明らかです。
コメント
コメント一覧 (6件)
林先生さま
明けましておめでとうございます。
今年も良い年になりますよう、投資塾で、理解を深めたいと思います。
さて、米国の物価高のお話ですが、2024年10月、従兄弟がシカゴに観光に行きました。
その際、日系レストランで食事した時、併せて、サントリーの山崎の水割りを頼んだら、一杯150ドルだったと驚いたそうです。ボトルでなく、ワンショット。
次からは、安い酒にしたらしいですが。
供給に限りがあり、価値が認められたモノは、高騰するのでしょう。
将来、供給が改善し値段は下がるかも知れませんが、暴騰前ね価格に落ち着くのでしょうかね!金と同様に。
150ドルといったら、1杯24000円ですよ。
こんなに高くなってしまっているのですか。
とても良い実例を教えていただきありがとうございました。
林先生の丁寧な解説により、米国のインフルの現状が手に取るように理解できます。
ビックマック指数などはよく話しに出てきますが、ユニクロのヒートテックやダイソーの商品の日本より割高なのですね。とても良い学びになります。ありがとうございます。
別の見方をすると、日本は商品がとても割安な国のように外国人には見えるようです。
これが1つの理由でインバウンドのお客様が増えているようです。
日本の給与水準では住めなそうな値段ですね。
東京とニューヨークの給与、ざっと調べたんですが、最低賃金も給与の中央値もどちらも、ちょうど倍ぐらいの違いでした。
ニューヨークでは、東京より倍稼いで倍から3倍払うような感じになってるのでしょうか。
あと、ニューヨークの1ベッドルーム物件の月額賃料(中央値)が67万円と出ました。怖ろしい・・・・
ニューヨークマンハッタンのアパートメントの家賃の高さは、昔から有名で
住民たちは「どこか良い安めのアパートはない?」といつも話し合っています。
日本では、「最近どこか美味しいレストランに行った?」が、1つの話題になっているかもしれませんが
同じような意味で、ニューヨークではアパートが話題になっています。
1つの理由は、マンハッタンは、東京都区部の10分の1の面積しかないので
価格が高くなってしまうのは仕方のないことかもしれません。