ウクライナ戦死者数を裏読みする

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~戦争での疲弊が激しい~

ウクライナの大統領が先週、ロシア・ウクライナ戦争の兵士戦死者数を公表しました。

今日はこの数字で、大統領が何を語りたかったのかをお話しします。

ウクライナ大統領が語った兵士の戦死者数は次の通りです。

2024年  2月時点: 31,000人

2024年 12月時点: 43,000人

これは驚愕(きょうがく)に値する発表です。

「こんなに少ないのか?」と驚いたわけではありません。

実際の死者数は、この数字の10倍はあったでしょう。

第二次大戦中の日本で「大本営発表」が全くの嘘で、常に日本優勢の情報を流していたことに似ています。

ポイントは数字そのものではなくて、変化率です。

2024年の2月は2022年2月に戦争が始まってから約2年間です。

すると、1ヶ月あたり860人が死亡している計算になります。

これに対して、その後10ヶ月間で12,000人が死亡したのですから、

1か月当たりの死亡数は1200人です。

つまり、死亡数が大幅に増加しているのです。ここが驚きなのです。

この理由は、ウクライナ軍の越境攻撃開始です。

2024年8月初頭に、ウクライナ軍は、敵地ロシア領内に侵入し攻撃を開始しました。

普通に考えればわかることですが、自国内で領土を守るのと、

他国に入り攻め込むのでは、戦争の厳しさが格段に異なります。

加えて、ウクライナには自国内の制空権もありません。

誰が考えても、国内で飛行機すら飛ばすことができない国家が他国に侵入するのは無謀です。

こうしたことを知りながら、越境攻撃を行った理由は何なのか。

それはその決定そのものが、ウクライナ軍によるものではなかったからです。

米国の指示に従わなければならかったということです。

米国には、「世界で戦争を起こして、不安定な状態を作り出しておきたい」という勢力があります。

そうすることによって、米国の軍事産業が潤(うるお)うばかりではなく、

「和平実現のためには、米国の力が必要だ」という国際世論を築くことができます。

トランプ次期大統領が、「ウクライナ戦争を就任後1日で終結してみせる」と言っているのは、

こうした米国内勢力の海外活動を断ち切ること意味しているわけです。

ウクライナの大統領が言いたかったことは、

「越境攻撃で自軍は疲弊し切っている。もうこれ以上の戦争は無理だ。米国に無茶苦茶(むちゃくちゃ)をやらされている。なんとか終結したい。国際社会の力を借りたい」といったものです。

政治の世界では、明確に公言できないことをこっそりと伝える方法が取られることが多いです。

それが今回の死者数の公表に表れていると考えてください。

ロシアは国境攻撃歓迎、戦意高揚。

ロシアがどうして越境攻撃を許したのか。

このことについても触れておきましょう。

ロシアはウクライナが自国内に侵入してくると知っていながら、それを許したと考えられます。

先ほども言ったように、ウクライナの制空権はロシアが握っていますから、

上空から敵軍がどのように動いているのかを明確に察知できます。

まして、越境攻撃を行おうとするならば、

大勢の軍隊が国境近くに集結するはずですから、これを見逃すはずはありません。

わかった上で、越境を許しているのです。

これはおそらく、国内への配慮が最大の理由と考えられます。

自国民に対して、「自分たちの領土が侵されている。守らなければならない」とアピールできます。

人々は領土や自分たちの命がターゲットとなれば、団結を固め、

大統領に対して、高い忠誠心を抱くようになるでしょう。

自分が住む地域が侵され、生活がめちゃめちゃにされたロシア人がこうした真相を知らされたら、

「戦意高揚のためだなんてひどい!」と怒るでしょう。

当然の怒りです。しかし、いつも庶民は虐げられ、利用されるものです。

それが政治の常(つね)です。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • GWブッシュ政権時代のリチャード·アーミテージ元国務副長官が、過去に「憲法9条が日米同盟の障害になってる」と発言していたと、何処かで読んだ事があります。

    米国は、日本もウクライナと同様、『中国やロシアなど新興国の政権転覆に利用したり、軍産複合体が稼ぐための戦争に巻き込もうとしていた可能性がある』と考えると、恐ろしく感じます。

    トランプ大統領が当選して、その危険性は下がったと思いますが、「日本は本当に、いつまでも米国なんかに従属していないで、将来のために、ロシアや中国と国交を回復して、BRICSに加盟した方が、豊かになれるのではないか」と思う今日この頃です。

    • 僕も日本がブリックスに加盟する方がいいような気がしますが、
      そんなことは米国が決して許さないでしょう。

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