銀行貸金庫盗難に思うこと

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12月16日、三菱UFJ銀行の頭取が貸金庫盗難事件の謝罪会見を開きました。この会見から感じた3点をお話しします。

➊スペアキーの封印写真が必要

会見の中で、頭取は犯罪の手口について、詳細を語りませんでした。しかし、ぼくが会見内容から推察した手口は、次のようなものです。

本件の場合、貸金庫を開けるには、銀行の鍵と顧客側の鍵の二つが同時に必要となります。顧客の鍵にはスぺアがあり、銀行が保管します。この際、封筒に入れ、銀行の印と顧客の印とを押して封印します。

開封された場合、封印が切られてしまうので、安全確実だとされてきました。しかし、今回の犯罪では、顧客の印鑑を偽造したものと思われます。封印を切り、スペア鍵で犯罪を行い、偽造印で新たな封筒を作成するという段取りでしょう。

顧客が封印された封筒を目にするのは、通常、解約時です。「ほら、この通りです」と顧客に見せることになります。しかし、それは利用開始後、何年も先のことでしょうから、中には封印した事実すら忘れている人がいるかもしれません。

まさか封印が偽造されていたとは気づかないでしょう。

ここで対策です。皆さんが次回貸金庫を訪れた場合、銀行に言って、封印された封筒を見せてもらうといいでしょう。そして、封印箇所の写真を撮っておくのが賢明です。そうすれば、問題が生じた(と感じた)時に、「実際に同じ印鑑かどうか」、「全く同じ位置に押されているかどうか」を見極めることができます。

❷銀行は貸金庫ビジネスを縮小する

銀行や政府は、貸金庫減らす方向に動いていくのではないかと推察されます。WBS(ワール・ドビジネス・サテライト)のコメンテーターが、しきりに「貸金庫の中に現金を入れておくことは脱税の温床になっている」と強調していました。この発言でピンときました。

「銀行に預金すればいいのに、何故しないのか」と言っていました。これは銀行から多額の現金を引き出そうとした経験のない人の発言です。自分のお金を引き出すのに、「使用目的は何ですか。」といった質問をして、なかなか引き出させてくれない事態が起きています。そうした中、貸金庫に現金を入れておく人が増えたとしても、不思議ではありません。そもそも貸金庫に現金を入れておくこと自体、合法です。

現在では、脱税は簡単ではありません。スマホ決済の普及により、現金での支払いが大きく減少しているからです。それでも、政府はできるだけ税金を増やしたいですから、少しでも脱税の可能性のある道をふさごうとしているのでしょう。

銀行にとっても、貸金庫ビジネスは、利益率が高いものではありませんからこれを機会にビジネスを縮小していくことが考えられます。近い将来に貸金銀行で借りたいと思っている人は、できるだけ早く手を打っておいた方がいいでしょう。また解約を検討している人も、いったん解約すると次は借りにくくなるというリスクを頭に入れておくべきです。

❸裕福でも幸せなわけではない

頭取によれば、盗難事件のあった二つの支店の貸金庫利用者1800人に対して、「中身を確認してください。そのために、来店してください」といった趣旨の連絡を銀行側がしたそうです。その結果、7割のお客様が来店したと話していました。逆に言えば、3割のお客様が、来店していないことになります。これは驚きの数字です。

普通の人間の感覚ならば、「自分の貸金庫はどうなっているだろう。盗まれてはいないだろうか?」と思って、銀行から連絡が来る前に、中身を確かめるでしょう。

つまり、来店による確認は必至です。それでも、来店しない人がいるのは何故なのか?

中には、「金庫は借りたものの、中身が何も入っていない」というお客様もいるでしょう。しかし、大半は「訳あり口座」ではないかと思います。つまり、本人が病気のために来ることができない、或いは本人が死亡している場合です。なかには借主が被相続人で遺産相続の渦中にあるのかもしれません。

貸金庫を借りている人は、そうでない人に比べて経済的に豊かな人が多いはずです。しかし、貸金庫利用者の中に3割もこうした状況にある人たちがいるということは、「比較的裕福な人でも決して幸せなわけではない」ということを示している気がします。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 私の娘は銀行員です。今回の貸金庫のお粗末な事件は、日本中で日々真面目に働いている銀行員に対する冒涜のような事件だなぁと嫌になりました。銀行員にとってそれこそお金で買えないものが、信用です。
    お金を取り扱っているのに、唯一お金では買えないものが信用なんですね 残念な事件でした。再発防止は是非お願いします。ひと手間をおしまないで!!

    • 人も会社も信用が一番大事ですよね。
      お互いに信用を大事にして生きていきましょう。

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