自国民すら信用しなくなる
今日は「国家が財政破綻をすると通貨がどうなるか」についてお話ししましょう。具体的な例を挙げる方がわかりやすいので、最近訪れたカンボジアの例を挙げることにします。
図表1は、カンボジアのスーパーマーケットの写真です。価格がオレンジ色で表示されています。2.49とか3.99といった数字です。これはドル(米国ドル)表示です。カンボジアでは米ドルが使われています。

これに対して、カンボジアでは別に、リエルという正式な通貨があります。しかし、日常生活では、リエルは補助的に使われています。主力は米ドルなのです。入国の際のビザ代金がドルでした。公共機関でドルが使われているということです。
例えば、5ドル50セントの買い物をするとします。自分が10ドル札を出すと、おつりは4ドル50セントです。このおつりは、米ドルではなく、リエル通貨で返ってきます。
1ドル=4000リエル
という計算になっていますから、おつりは18,000リエルです。店がリエルで返すのは、利ざやが稼げるからです。為替市場では、本日現在、
1ドル=4030リエル
になっています。店が1ドル札を外国為替市場に持ち込むと4030リエルを受け取ることができます。お客様には4000リエルを返すのですから、1ドル当たり30リエルの儲けとなります。(ちなみに、1ドルの代わりに4000リエルを払っても受け取ってくれます。)
カンボジアがどうしてこのような二重通貨になったのか。
図表2を見ると、1990年頃では、1ドル300リエル弱でした。その後、政治上の大混乱期(ポルポトによる大虐殺)を迎え、10年の間に通貨の価値は十分の1以下となってしまったのです。

タイでも似たような通貨問題が起きたことがありました。1997年にアジア通貨危機が発生し、その震源地はタイでした。97年7月、1ドル24.5バーツだった通貨が暴落を始め、98年1月には1ドル56バーツとなりました。こうした経験を通じて、外国人ばかりでなく、タイ人もバーツを信頼しなくなりました。
僕は5年後の2002年に、バンコクを訪れたことがありました。その際、ホテルに、「1泊200米ドル」という予約を3か月前にすることになりました。実際に当日現地で支払うったのは200ドルを換算したバーツです。
しかし、3ヶ月前にバーツで予約完了してしまうと、ホテル側は為替レートのリスクを取らなければなりません。2002年の段階ではバーツの為替レートは落ち着いていたのですが、タイ人には心理的な後遺症が残っていたようです。
日本や米国の通貨が崩壊すれば、同じようなことが起きてくるでしょう。その際は、ゴールドが基軸になるでしょう。例えば、3ヶ月後に泊まるホテルの予約は「1泊当たりゴールド1.24グラム」というようになってしまうかもしれません。当日はそれに応じた日本円を払うことになります。
基準がゴールドになるというだけで通貨そのものは日本円です。信用の中心がゴールドになるということです。
コメント
コメント一覧 (11件)
日本在住で、ほとんど円しか使っていない私にとっては「通貨がどうなるのか?」は、歴史を学んでも、肌感覚では掴めないでいました。
林先生の国際的な現地経験と、それに基づいた通貨価値の変化の見通しには、目を見開かれます。
やはりゴールドに辿り着きますネ。
日本でも、第2次大戦以前に使われていた銭という
単位が今では使われなくなっていますが
その理由はインフレでした。
1946年から現在まで、物価が400倍となってしまったので
銭という単位が使われなくなり、1円が最低単位になって
しまったのです。
歴史の中では、ほんの少し前のことのはずなのですが
私たちの生まれる前ですから実感が掴めないのですね。
有難うございます。
質問です。現在、暗号通貨BTC等が使われ始めたようです。それでも、Goldの価値は薄れないのですか?最強の通貨と考えて良いのでしょうか?
ゴールドは、エジプトにピラミッドが建ち始めた頃から、国家の通貨として使われています。
金の価値はそのぐらい昔から。世界で認められているものなのです。
これに対してビットコインは最近登場したばかりの通貨であり、今後どのように扱われるかが定まっていません。
あなたは自分の全資産をビットコインにする勇気がありますか?
おそらくないでしょう。
これは全世界の人々が持つ共通の認識だと思います。
不安な要素があるものに手を出すことなくゴールドを持つことで、自分の資産を守るようにいたしましょう。
林則行先生のおっしゃる通りだと思います。
私もビットコインには、かつては大変魅力を感じていました。ゴ-ルドと同じで数に制限がある。政府に管理されず、金融機関を通さなくても取り引きできるので預金のように封鎖される心配がない。価値の上昇が飛躍的である。
林則行先生の御指導を受けていなければ、大量に購入してしまい酷い目にあっていたか、今後酷い目にあうことでしょう。
ビットコインは、武器の闇での取引やマナーロンダリングの可能性が指摘されており、投機的な目的で購入されている危険性があります。
ゴ-ルドのように通貨危機や経済危機に備えて世界中の中央銀行や中国やインドの民衆の安定的な購入が常にあるのとは大きく違います。
ビットコインの価値は、今後何かをきっかけにバブル(泡)のように消えたしまう危険が常にあるでしょう。私は、今後もビットコインを購入しないつもりです。皆様もリスクが高いので購入しない方が良いと思います。
林則行先生のおっしゃる通りだと思います。
私もビットコインには、かつては大変魅力を感じていました。ゴ-ルドと同じで数に制限がある。政府に管理されず、金融機関を通さなくても取り引きできるので預金のように封鎖される心配がない。価値の上昇が飛躍的である。
林則行先生の御指導を受けていなければ、大量に購入してしまい酷い目にあっていたか、今後酷い目にあうことでしょう。
ビットコインは、武器の闇での取引やマナーロンダリングの可能性が指摘されており、投機的な目的で購入されている危険性があります。
ゴ-ルドのように通貨危機や経済危機に備えて世界中の中央銀行や中国やインドの民衆の安定的な購入が常にあるのとは大きく違います。
ビットコインの価値は、今後何かをきっかけにバブル(泡)のように消えたしまう危険が常にあるでしょう。私は、今後もビットコインを購入しないつもりです。
林先生、ライオン様、ありがとうございました!
焦ってるつもりはないのですが、投資詐欺でのマイナスが頭をちらつく度に、「ビットコインも、有りなのか」と瞬間よぎってました。
これからは、迷わず先生からの投資部の王道を進もうと決めました
国家破綻や、通貨危機……
現在日本で生活している限り、思いもよらない出来事…
投資部に参加していなかったら、と思うだけでも恐ろしいです。
私は平和ボケの典型的な日本人で危機感なしのノーテンキでした。
今後ともご指導ご鞭撻宜しくお願いします!!
「今日の気づき」を読むだけで、社会に対する目がだんだんと開かれていきます。
毎日しっかり読んでくださいね。
カンボジアの話、衝撃的でした。やはり経済は大切ですネ。今後米国ではトランプ大統領になり、ビットコインが値上がりしています。何故に仮想通貨を推奨の気配があるのか教えていただけたら嬉しいです。コロナ禍により米国は途方もないお金を刷りすぎたことと関係があるのでしょうか?
トランプ大統領がビットコインを推奨しているように発言しています。
この理由は、選挙中にビットコインの関係者から大口の寄付を得たためだと思います。
つまり、ビットコインの価格が上がることによって、トランプはこうした業者に対して恩返しをしているのではないでしょうか?
彼は実業家ですから、こうした得体の知れない通貨が今後も長く繁栄するという風には、
本音では考えていないというふうに僕は思っています。