値下げが始まっている
「日本の景気は悪化方向に動いている」というのが私たち庶民の実感ではないでしょうか?最近では大手の飲食店や、スーパーマーケットにその傾向が現れています。
物価高が続いている中、一部の企業から値下げが始まっているということです。庶民の懐(ふところ)具合に配慮した取り組みです。
牛丼の吉野家が10月9日から15日までの限定で、13年ぶりの値引きに踏み切りました。値下げ幅は100円です。客足の戻りかたによっては期間を延長する予定でしょう。同業者の松屋、すき屋は今月末までの割引クーポンを発行して実質値下げを行っています。
小売店でも値下げが始まっています。イオンは9月18日から、カップ麺を192円から181円に11円値下げするなど19品目で値下げを実行中です。コメリでは、10月1日から洗剤を100円値引きし、428円から328円とするなど759品目を値下げし始めました。また、イトーヨーカドーは7月1日から菓子(煎餅)を181円から159円とするなど100品目を値下げしました。
体力のある大手がこのような値下げを始めれば、体力のない中小の飲食・小売り業者でも追随せざるを得ません。
街角景気は悪化する方向にあります。図表1は、内閣府が発表している景気ウォッチャー調査の推移を示したグラフです。これによれば、街角でのアンケートにおいて、「景気が悪い」と答えた人の数が、「景気がいい」と答えた人の数より多くなりつつあることがわかります。

2024年は日経平均が史上最高値を更新したというのに、庶民にはその恩恵が届いていないようです。実質賃金(名目賃金から物価上昇分を差し引いたもの)は8月に入って再びマイナスになってしまいました。プラスだったのは6月、
7月の2か月間だけでした。物価上昇の方が賃金上昇より大きいためです。
株価の先行きは最終的には庶民の暮らし向きで決まります。庶民が苦境にあると企業収益が伸びないからです。景気ウォッチャー指数がさらに悪化すれば、株価は下落方向に向かうこととなります。
注:景気ウォッチャー調査
「景気が良い」と答えた人の総数から「景気が悪い」と答えた人の総数を引いたもの。
例えば、100人中、「景気が良い」と答えた人が50人、「悪い」と答えた人が50人いた場合は、引き算の結果は0です。この場合、指数を真ん中の50として、統計上に表します。
一方、「景気が良い」と答えた人の数が55人で、「悪い」と答えた人の数が45人いた場合は、差し引きプラス10になりますから50に10を足して指数が60になるといった計算方法です。
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