工業製品はもはや強くない
2回にわたって、日本人の強み・弱みというテーマでお話しします。日本の輸出産業といえば、従来は電気・機械が中心でしたが、その傾向は既に崩れつつあります。強みとは言えない状態になってきたでしょう。
一例を挙げると、家電業界は日本を代表する輸出産業でした。日立、東芝、三洋、シャープ、松下など群雄割拠の状態でしたが、どの会社にも勢いがありました。今では海外勢に押され、また買収され、実質的な日本企業は、松下(現パナソニック)だけになってしまいました。
携帯電話やPCの世界に占める日本勢の割合は低いし、EV自動車でも大きく出遅れました。ドローンの生産については、日本勢はほとんどシェアがない状態です。
新幹線のスピードについても、日本の最高時速320キロ(東北新幹線)です。
東海道新幹線では285キロです。これに対して、中国は350キロです。
日本の工業製品が海外勢に比べて出遅れている理由は何か?それは、製品を企画し、デザインする力が海外勢は強いからです。
工業製品は仕様が決まればあとは製造する工程になります。製造は機械が行います。機械の性能はかなり上がっており、各国とも大きな差はなくなりました。ここが日本勢の勢いが陰ってきた理由です。
企画やデザインは一部のエリート社員が担います。ここに優秀な人材を引き抜くことができれば、世界で大きなシェアを獲得できます。エリート社員には法外な給与を支払います。日本円で億単位は当たり前でしょう。海外の企業では、そうしたことが当然のように行われています。
これに対して、日本人は「チームワークで働く、上司の指示を仰ぐ」という意識が強いです。給与も一部の社員が突出することを好みません。海外に比べてCEOの給与が低いこともそうした理由からです。
こうした風土のもとでは創造性に長けた人材を抱えにくく、活かしきることができません。また、そのような人材が育ちにくいです。
次回は日本人の強みについてお話しします。
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次の強みについてが楽しみです。