東京メトロの上場:買ってはいけない

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東京メトロが10月23日に上場します。この株についてのお問い合わせが多いので、ここでお答えします。

「この銘柄を買うのは、正しい投資法ではない」というのがぼくの見解です。

図表1を見ると、2024年3月期(昨年度)は売上が13%伸び、経常利益が234%という高成長をしています。2024年の6月期(4月~6月の3ヶ月)は売上が6%、経常利益が39%伸びています。これはまさに高成長企業の成長率です。

ところで、ここで立ち止まって考えてみましょう。

東京メトロは地下鉄です。人が地下鉄をどんどん利用するようになるということがあるでしょうか?皆さんも自分が地下鉄に乗った回数を数えてみてください。去年も今年も同じようなものでしょう。だとすれば、売上の大幅増は考えにくく、その結果、利益の大幅増もないはずです。

そこで、やや長期で過去のデータを少し見てみる必要があります。図表2です。これは2006年から2024年までのEPS(1株利益)を示したものです。これを見ると、2021年3月期にコロナの影響を受けて大幅な赤字となりました。その翌年、22年も赤字でした。23年24年と回復しているわけですが、過去の最高益にはまだ達していません。つまり、回復途上ということで、伸び率が高くなっているのにすぎません。

今後の伸びはどの程度になるのか?過去のデータからみると、2013年3月期から200017年3月期までEPSが緩やかに伸びています。このあたりの伸びが期待できそうです。(別の言い方をするなら、それ以上の伸びは難しそうだ、ということです)

多くの人たちが最近の決算書だけを見て、東京メトロを高成長企業だと思って買ってしまうのではないかとぼくは思っています。その場合、初値が高くなるかもしれません。(場合によっては1日~2日ストップ高となるかもしれません

ところが、高い期待を抱いた人たちの買いが落ち着くと、株価は大幅な下げに入ってしまうのではないかと思います。

そうしたことが起きたのが、JR東の上場時です。これは図表3に詳しいです。

上場日は1993年の10月26日でした。ここからJR東の株価が大きく下がっているのがわかります。最初の1ヶ月が大きく下がっており、その中でも最初の1週間が特に大きく下がっています。

その後の株価を見ると、日経平均とJR東は同じように動いています。JRは鉄道会社ですから、高成長企業ではありません。従って株価パフォーマンスは、初期の暴落時を除けば、ほぼ日経平均と同じになっているのです。 東京メトロは、最初だけパフォーマンスが高く、後には日経平均並みになっていくでしょう。こうした銘柄は買いの対象ではありません。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 教えて頂いた「ディフェンシブ銘柄」てすね。世間の騒ぎて買ってしまう人が多いのでしょうね!今後の空売りも期待薄てすね。
    ありがとうございました‍♂️

    • タサキさん
      そのとおりです。
      東京メトロはディフェンシブ銘柄ですから、
      売ってはいけません。
      上場後の値段がどうなるか
      少しの間だけ見てみましょうね。

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