郵便の値上げ:政府の身勝手さの現れ

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本来ならば値下げすべき

10月から郵便料金が値上げになります。

はがき:    63円⇒85円

封書(25グラム以下) 84円⇒110円

となります。

値上げの理由として、2つ挙げています。

コスト上昇(人権費、燃料費の高騰)と取り扱い郵便数の減少です。郵便数の減少はメールや携帯電話の普及によるものです。郵便事業は2023年度686億円の赤字であり、この立て直しには値上げが不可欠だというのです。

ぼくはこの話を聞いた時に、「本来ならば値上げではなく値下げするべきだろう」と思いました。

どういうことか?

簡単に言えば、最大の問題は、「人が郵便を使わなくなってきた」ということです。もっと使ってもらうためには、新たなサービスを提供するか、値段を下げるしかありません。新しいサービスを生み出すのは短期的には難しいでしょうから、値下げが最大の魅力につながります。今の金額の半分になれば、「もっと使いたい」という人や事業者がたくさん出てくるでしょう。値上げをすれば、客離れがさらに進むだけです。

一般の企業が需要を減らしてしまうことをおそれて価格転嫁できずに苦悩していることを尻目に、「需要減を理由に価格上昇を行う」などということを押し通す。こんなことが許されるのは、郵便が政府の独占事業だからです。

郵便はこれまでも大きく価格を上げてきました。

下の表は公共料金の1980年からの価格上昇率です。最も高いのが「はがき」で、215%も上がっています。(なお、この上昇幅には10月の値上げ分は含まれていません。)次に上がっているのは水道料金で139%増です。この両者とも民間企業ではなく、競争がない独占だというのが共通点です。

これに対して、鉄道や電気、ガスには競合が存在します。そのため、価格上昇幅は抑えられています。固定電話にいたっては、最大の競合が携帯電話です。携帯電話は全国一律料金ですから、長距離が割高だった固定電話も全国一律料金となりました。そのため、単位当たりの価格が下がり、全体として44%も下がりました。

郵便の値上げは、「赤字は利用者(庶民)に負担してもらおう。郵便がなくなったら困るのだから、値上げを受け入れざるを得ないだろう」と考えているわけです。

コスト削減の努力など考えたこともないでしょう。ここに政府の身勝手な姿勢が現れていると言えます。

  1980年からの価格上昇幅(総務省の物価統計)
はがき215%10月からの値上げは含まれていない
水道139%自治体が運営しているから高い
ガス代92%水道やはがきに比べて競争がある
鉄道62%水道やはがきに比べて競争がある
電気代59%水道やはがきに比べて競争がある
総合54%
固定電話-44%昔は長距離電話が割高だった

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